コラムColumn

役員の未払報酬で増資することはできるの?

2023.01.29

資本金を増やしたい(増資と言います)場合の主な手段として2つのパターンが考えられます。

株式を発行する
剰余金や準備金を資本金に組み入れる

今回は、①の株式を発行して資本金を増やす方法の中で、
金銭以外の対価によって株式を引き受ける手続きについてご紹介します。

金銭以外の出資とは?

設立や増資をしたい場合、
株式を発行して、その株式を引き受ける人が対価を金銭で支払って
その金銭が設立時の資本金や増資額になる
というのが一般的な流れです。
これを「金銭出資」と言います。

これに対して金銭以外の「物」で出資することもできます。
例えば、会社設立時に株式を引受る対価として「車」を出資したとか、
増資をする場合に、金銭の代わりに「会社に貸しているお金(債権)」を出資したとかです。
いずれも金銭という形ではないけれど、何らかの形で出資をしています。
これを「現物出資」と言います。

現「物」と言ってますが、例にもあげたように
物じゃなくても金銭以外の場合は現物出資です。

では本題です。
役員の未払報酬を現物出資として増資をすることはできるのでしょうか。

未払報酬で増資できる

結論としては、未払報酬で増資できます。
例えばこんな場合です。

株式会社A
代表取締役X

Xは株式会社Aの代表取締役です。
株主総会、取締役の決定により役員報酬は月額100万円と決定されました。
しかし株式会社Aから役員報酬が支払われず、未払役員報酬が300万円になりました。
これはXが株式会社Aに対して300万円の債権を持っいることになります。
「300万円支払え!」という権利ですね。
普通だと、この300万円を支払ってもらって終わりってかんじですよね。
現物出資というのはこの300万円を出資したことにして、その分の株式もらっちゃおうという手続きです。
もちろん、300万円全額じゃなくてもいいので、
300万円のうち100万円を現物出資するとかでもOKです。

ここまで読んで、現物出資って金銭出資と比べると
ちょっと危うい感じがしませんか?
例えば「この車を800万円で現物出資します」って言われても、
金銭じゃないので本当に800万円の価値あるの?会社が損してない?又は会社が得してない?
とか、
「役員未払報酬が1000万円あるのでこれを現物出資します」って言われても、
「え?1000万どこ?本当に?」みたいな。

なので、原則、現物出資をする場合にはきちんと調査をして法務局にその書類を提出してくださいね。
という決まりになっています。

現物出資する場合の調査とは

現物出資をする場合、原則、裁判所に検査役選任の申立をします。
そして選任された検査役は現物出資の内容を調査して裁判所へ報告をし
その調査報告書や裁判所の変更決定の謄本を増資の登記申請に添付する必要があります。

めちゃめちゃ大事(おおごと)ですよね。。
これを例えば「現物出資で10万円増資したいです」など少額な増資にも適用してたら
会社もそれに対応する裁判所も大変です。

なので、一定の要件を満たす場合には現物出資でも検査役の選任は不要になります。

検査役の選任が不要な場合とは

①から⑤いずれかに該当する場合は検査役の選任が不要です

①引受人に割り当てる株式の総数が発行済み株式総数の10分の1を超えない場合
②現物出資財産の価額の総額が500万円を超えない場合
③有価証券を市場価格を超えない価額で出資する場合
④弁護士等が価額の相当性について証明している場合
⑤弁済期が到来している会社に対する債権を帳簿価額を超えない価額で出資する場合

会社の規模に対して出資額が大したことないよねとか
そもそもそんなに大きな価額の出資じゃないよねとか
検査役が調査するまでもなく価額の相当性が明確だよねとか
そういった場合は、わざわざ検査役選任しなくていいよねーってことです。

実務上は殆どの場合「②500万円を超えない」に該当して検査役の選任をすることはありません。
法務局への提出書類は金銭出資の場合と殆ど同じです。
逆に考えると、現物出資を考えている場合は、
500万円以下にするということを検討する価値はあるかと思います。

会社の登記はふくおか司法書士法人へ

今日は役員の未払報酬の増資についてご紹介しました。
他にもフランチャイズの加盟権や作成したホームページなどを現物出資して設立や増資をした事例もあります。

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