コラムColumn

会社の本店移転をする場合の手続き

2022.10.18

年末が近づいてくると、
ああ、今年もあと〇か月かあ
今年はどんな年だったかなあ
来年はどんな年にしたいなあ
などと、今年1年を振り返り新たな目標を立てている自分がいたりしますよね。

そんな中で、売り上げも安定してきて従業員も増えたし、事務所を移そうかな。
と検討される方もいらっしゃるのではと思い、
今回は会社の本店移転をする場合の手続きについてまとめてみました。

本店移転とは

一言で「本店移転したい」と言っても、手続き的には3パターンに分かれます。
どの手続きに当てはまるかによって、必要書類や費用が異なりますので、
まずはどの手続きに当てはまるか確認が必要です。
本店移転の3パターンは以下のとおりです。
①管轄内移転で定款変更も不要
②管轄内移転だが定款変更が必要
③管轄外移転

本店移転のポイントは「管轄内?管轄外?」と「定款変更が必要?不要?」です。
これによって必要な手続きが変わってきます。
まずは、本店移転時の管轄や定款変更についてご紹介します。

「管轄」って何?

本店移転をする際の「管轄」とは何か?というと、
会社の登記申請をするときの管轄法務局のことです。
例えば福岡だと、福岡市や大牟田市、久留米市、飯塚市、太宰府市など
殆どの地域の会社が福岡法務局に登記申請をします。
北九州市、直方市、田川市などは北九州支局に登記申請をすることになります。
福岡の登記管轄はこちらでご確認ください。

本店移転前も後も管轄が同じ法務局であれば
「管轄内移転」と言って、比較的簡単な手続きで本店移転登記申請をすることができます。
例えばよくあるのが
移転前:福岡市西区⇒移転後:福岡市中央区
といった感じで福岡市内で移転する場合や、
市外への移転でも
移転前:福岡市⇒移転後:太宰府市
とかだと、移転前も後も管轄は福岡法務局になるので「管轄内移転」となります。

一方で
移転前:福岡市⇒移転後:北九州市
となると、移転前の管轄は福岡法務局、移転後の管轄は北九州支局となり
「管轄外移転」の手続きとなります。

定款変更が必要かどうか

本店移転時のもう1つのポイントが定款変更が必要かどうか?ということです。
これは、定款で(本店の所在地)をどのように定めているかによって定款変更が必要かどうか変わってきます。

本店所在地の定款の定め

定款には、本店所在地の定めが必要です。
この定めは「最小行政区画まででOK」となっているので、詳しい住所を定める必要はありません。
例えば、「福岡市中央区赤坂一丁目15番39号1階」を本店とする場合、
定款の本店所在地は「福岡市とする」とだけでOKです。

設立登記のご相談をいただいた場合などは、
詳細な本店住所よりも最小行政区画で定めることをお勧めしています。

定款は最小行政区画がおすすめ

なぜなら、詳細住所を定款で定めてしまうと、
ちょっとだけ本店移転した場合でも、その都度定款変更の手続きが必要だからです。
例えば
本店を定款で「福岡市中央区赤坂一丁目15番39号1階」と定めてしまった会社が
2階に本店移転したい場合でも定款変更が必要になります。
一方で定款で「福岡市」とだけ定めておけば
フロア移転どころか、福岡市内であればどこに本店移転をしても
定款変更は不要なのです。

何で定款変更が必要かどうかに拘っているかというと、
必要な手続きや書類が変わってしまうからです。

定款変更手続きについて

定款変更をする場合、株主総会の決議が必要です。
1階から2階に移転するだけなのに、
株主総会を開いて決議をして、
株主総会議事録と株主リストの作成が必要です。

何か、やってることと得られる結果のバランスがとれてない感じがしますよね。
率直に言ってしまうと「フロア移転するだけなのに面倒だな」です。

一方、「福岡市」と定めておけば定款変更は不要なので、
取締役間で「いいよね」と同意があれば本店移転ができます。
必要書類も取締役の決定書のみでOKです。

本店移転では管轄と定款の定めが重要ということが分かったところで、
実際にどのような手続きが必要かご紹介します。

本店移転の3パターン

冒頭でもご紹介しましたが、本店移転には3パターンあります。
①管轄内移転で定款変更も不要
②管轄内移転だが定款変更が必要
③管轄外移転

ひとつずつ見ていきます。

①管轄内移転で定款変更も不要

例えばよくあるのが
移転前:福岡市西区
移転後:福岡市中央区
といった福岡市内での本店移転です。
この会社が定款の本店所在地を「福岡市とする。」と定めていた場合、
移転後も福岡市なので、定款変更は不要ですよね。

すると手続きの流れはこんな感じになります。
①取締役の決定で具体的な新しい住所を決める
②実際に本店移転をする
※①と②はとちらが先でも構いません。
③①と②遅い方の日付を効力発生日として本店移転の登記申請をする

登記申請時の添付書類

・取締役決定書
・委任状(司法書士に委任する場合のみ)

登録免許税

3万円

②管轄内移転だが定款変更が必要

次に、管轄内だけど定款変更が必要な場合の手続きです。
例えばこんな場合。
移転前:福岡市
移転後:久留米市
まず、福岡市も久留米市も福岡法務局が登記管轄なので「管轄内移転」になります。
しかし、定款の定めは最小行政区画までは必要なので少なくとも「福岡市とする」となっているはずです。
すると「久留米市とする」に定款変更が必要です。

なので手続きの流れはこんな感じになります。
①株主総会で定款変更決議をする
②取締役の決定で具体的な新しい住所を決める(取締役会非設置会社であれば①の株主総会で一緒にしてしまっても構いません)
③実際に本店移転をする
※②と③はとちらが先でも構いません。
③②と③遅い方の日付を効力発生日として本店移転の登記申請をする

登記申請時の添付書類

・株主総会議事録
・株主リスト
・取締役決定書
・委任状(司法書士に委任する場合のみ)

登録免許税

3万円

③管轄外移転

これが結構大変です。
例えばこんな場合。
移転前:福岡市
移転後:北九州市
まず、福岡市は福岡法務局、北九州市は北九州支局が登記管轄なので「管轄外移転」になります。
そして定款も当然「福岡市とする」から「北九州市とする」に変更が必要です。

手続きの流れはこんな感じになります。
①株主総会で定款変更決議をする
②取締役の決定で具体的な新しい住所を決める(取締役会非設置会社であれば①の株主総会で一緒にしてしまっても構いません)
③実際に本店移転をする
※②と③はとちらが先でも構いません。
③②と③遅い方の日付を効力発生日として本店移転の登記申請をする

登記申請時の添付書類

・株主総会議事録
・株主リスト
・取締役決定書
・委任状2通(司法書士に委任する場合のみ)
※福岡法務局と北九州支局にそれぞれ1通ずつ委任状の提出が必要です。

登録免許税

6万円
※福岡法務局3万円
北九州支局3万円

管轄外移転は単純に移転前と移転後の法務局に登記申請が必要です。
管轄内移転と比べると登録免許税も倍になります。

ふくおか司法書士法人では、様々な会社の登記手続きに対応しています。
会社の登記のご相談はふくおか司法書士法人までお問合せください。

わたしたちは皆様のお困りごとを解決する
福岡の司法書士事務所です。

ふくおか司法書士法人では、不動産登記、商業登記、債務整理、後見業務などに専門のスタッフを配置し、依頼者のためにふくおか司法書士法人で対応しうる限りの支えになることを心がけております。
また、より高い専門性を生み出すために弁護士、税理士、社会保険労務士等の他士業の先生方とも協力し合いながらワンストップで業務にあたっています。
事務所設立時の「誰かの支えになりたい」「目に映る困っている人の力になりたい」という想いは、今も変わらずわたしたちの強い原動力となっています。

一覧に戻る

ピックアップコンテンツPickup contents

当事務所が運営している専門サイトや
おすすめコンテンツをご紹介

相続・遺言
《無料相談》実施中!

https://www.fukuoka-shihousyoshi.jp/souzoku

暮らしに役立つ
法律メルマガ

https://mi-g.jp/mig/registration

福岡で不動産事業を
始めたい方へ

https://www.fukuoka-shihousyoshi.jp/estate

福岡自己破産
無料相談室

http://fukuoka-jikohasan.net/

福岡債務整理
無料相談室

http://fukuoka-saimuseiri.net/

福岡個人再生
無料相談室

http://fukuoka-kojinsaisei.net/

出版物紹介

https://www.amazon.co.jp

ふくおか司法書士法人では、不動産登記、商業登記、過払い請求・個人再生・自己破産・任意整理・時効援用などの債務整理、相続・遺言、成年後見、債権回収 交通事故などについての手続き全般を行っております。それぞれの業務に専門スタッフを配置し、依頼者のためにふくおか司法書士法人で対応しうる限りの支えになることを心がけております。また、より高い専門性を生み出すために弁護士、税理士、社会保険労務士等の他士業の先生方とのネットワークを駆使し、ワンストップで対応。ふくおか司法書士法人を選んでご来所いただいたお客様に、満足して、笑顔で帰っていただくために、私たちはどんな苦労も惜しみません。

初回相談費用無料

LINEでのご相談はこちら