根抵当権の債務者が合併した場合の手続き
2022.08.13
先日、会社を合併する場合のスケジュールについてコラムを書きました。
今回は、この合併した会社が根抵当権の債務者だった場合の手続きについてご紹介します。
会社が合併した場合、根抵当権変更登記は必要?
合併したからといって何でもかんでも変更登記が必要というわけではありません。
では、どんな場合に根抵当権の変更登記が必要になるか?というと、
「合併によって消滅してしまった会社が根抵当権の債務者になっていた場合」です。
合併には、合併することによって消滅してしまう会社と、存続(又は設立)する会社があります。
存続する会社が根抵当権の債務者だった場合は、特に手続きは必要ありません。
消滅する会社が根抵当権の債務者だった場合のみ、根抵当権の変更手続きが必要になります。
必要な登記と書類
根抵当権の債務者が合併をした場合、「根抵当権変更登記」が必要です。
例えば、こんな場合。
令和4年7月1日に合併をしました。
存続会社:株式会社A
消滅会社:株式会社B
株式会社Bを債務者とする根抵当権がありました。
根抵当権者:X銀行
債務者:株式会社B
根抵当権設定者:株式会社C
合併により消滅してしまう株式会社Bを債務者とする根抵当権があるので、
この根抵当権の変更登記が必要です。
申請人は、
権利者:X銀行
義務者:株式会社C
司法書士に提出する必要書類は
X銀行:委任状
株式会社C:委任状、登記識別情報(登記済証)、印鑑証明書
です。
株式会社Aと株式会Bの合併なのに、
根抵当権変更登記は、X銀行と株式会社C申請人となり、書類の提出を求められるのです。
では、この変更登記をすると根抵当権はどんな債権を担保することになるのでしょうか?
合併による債務者変更をした根抵当権はどうなる?
無事債務者変更が終わると、変更後の根抵当権は以下の債務を担保することになります。
・株式会社Bの合併時点の債務
・株式会社Aの合併後の債務
普通に聞き流すと、「ふーん」って感じなのですが、
よくよく注意してみると、
「株式会社Aの合併前の債務」は担保されていないことが分かります。
今回の合併による債務者変更は、
あくまで株式会社Bの一切の権利義務を合併によって株式会社Aが承継することになりました、
なので、この根抵当権の債務者も株式会社Aに変更しますよというものです。
合併前の株式会社Aの債務については合併によって引き継がれるものではないのです。
では、合併前の株式会社Aに対する債権も根抵当権んで担保したい場合、
どのような手続きが必要なのでしょうか。
根抵当権の債権の範囲変更
合併前の株式会社Aに対する債権も根抵当権んで担保したい場合、
X銀行と株式会社Cの間で「合併前の株式会社Aに対する債権も担保しよう」と契約をして、
債務者変更とは別に「債権の範囲変更」が必要になります。
根抵当権とはそもそも、
決められた金額(極度額)の範囲内で、決められて者同士の、決められた債権債務を何度でも繰り返し担保しようではないかという性質ものにです。
先の事例だと、
合併後のX銀行から株式会社A対する債権はこの根抵当権で担保されることになります。
ここに合併前の株式会社Aに対する債権も入れたい場合には、
債権の範囲をそこまで広げる必要があります。
債権の範囲を広げるためには、債権の範囲変更が必要です。
申請人は、債務者変更と同じく
権利者:X銀行
義務者:株式会社C
司法書士に提出する必要書類も債務者変更と同じく
X銀行:委任状
株式会社C:委任状、登記識別情報(登記済証)、印鑑証明書
です。
根抵当権のご相談は司法書士に
比較することではありませんが、司法書士はその職務の性質上、
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