コラムColumn

農地法の許可と農地の仮登記

2022.08.10

 相続以外で農地を取得するときに必要な「許可」とは?

農地を売買するときに「農地法の許可」が必要です。
農業委員会や都道府県知事などから許可をもらわないと売買ができないのです。

今回のコラムでは、
何で許可が必要なの?から
許可の種類は?
もし許可がもらえなかったらどうなるの?

という内容をまとめてみました。

農地法の許可って何で必要なの?

皆さん、日本の食料自給率ってどのくらいかご存知ですか?
農林水産省の発表によると、令和3年度の日本の食料自給率は38%だそうです。(カロリーベースによる試算)←農林水産省HPより
単純に、私たちが口にする食べ物のうち、日本国内で生産されたものが38%で残りの62%は海外からの輸入に頼っているということです。
これが高いのか低いのかというと、断トツで低いらしいです。
例えば他国の食料自給率をみてみると、
アメリカ130%
フランス127%
オーストラリア224%
と、100%超えてるんですよね。

私はこの分野についてはコラムを書くためにぱっと数字を調べただけなので、
数字からの印象だけにはなりますが、
「輸入できなくなったら生命の危機だな」と感じました。
想像してみてください。
目の前の食卓から60%の食料がさっと消えてしまうと思うと、不安になりませんか?

日本の食料自給率が低い理由はさまざまあるみたいですが、兎に角、これ以上は下げてはならぬ!!
ということで、食料が作られる土地=農地を守ろうではないか!!
というのが農地法許可の趣旨です。(私が読み込んだ限りでは)
なので、売買などで農地法の許可が必要なのは、
登記上の地目が「田」又は「畑」になっている土地が対象になります。

では、この農地法の許可とはどういったものなのでしょうか?

 

農地法の許可とは

農地法の許可は「農地法3条許可」「農地法4条許可」「農地法5条許可」の3つの許可があります。
農地をどうしたいのか?によって取得する許可が異なります。

3条:農地をそのまま農地として売買などする。⇒人が変わる。
4条:農地を農地以外の物に転用する。⇒物が変わる。
5条:農地を農地以外の物に転用して売買などする。⇒人と物が変わる。

例えば、農業をしたい人が、農地を購入する場合は、3条許可が必要です。
例えば、農地を宅地にして家を建てたい人が農地を購入する場合は、5条許可が必要です。

農地がいい加減な売買を繰り返されてきちんと管理できない人が所有者となり、
農作物の収穫ができなくなると、私たちは食べるものがなくなってしまいます。
農地がどんどん勝手に宅地に転用されてしまうと、
農業ができなくなり、私たちは食べるものがなくなってしまいます。

なので、人がかわったり、農地自体がかわったりするときには、
きちんと然るべきところから許可をもらってくださいね。
というルールになっています。

そして、農地の所有権移転登記をする場合、
きちんと許可をもらいましたよということを証明するために
許可証を法務局に提出する必要があります。

では、農地の売買の約束はしているけど、
農地法の許可がなかなかとれない場合は、許可が出るのを待つしかないのでしょうか?

農地法の許可が不要な場合

農地を売買して人(所有者)がかわる場合、農地法3条の許可が必要です。
しかし、所有者が変わる原因が「相続」や「遺贈」「時効取得」などの場合には農地法の許可は不要です。

農地と仮登記

農地法の許可をもらうまでには時間がかかります。
要件がばっちりそろっていても、書類を作成して、必要書類を揃えて、提出して、農業委員会などの審査があって、、
と考えると、すごくスムーズに言っても2-3か月はかかります。
さらに、書類作成に時間がかかったり、そもそも要件がなかなか整わずに許可申請に至らないというケースもあります。

農地を購入する側としてみたら、翻意されたらどうしよう、、他の人に売却されたらどうしよう、、
と、許可取得までの道のりが長ければ長いほど心配になりますよね。

そんなときに、指をくわえて待つしかないのか?というと、そんなことはありません。
不動産登記には「仮登記」という制度があり、
許可取得前の農地を他の人にとられないように予約をしておくことができるのです。

仮登記とは

仮登記とは登記の予約制度のようなものです。
当事者間で売買の約束をしているけど農地法の許可取得に時間がかかりそうなので所有権移転登記がまだできない。
そこで、農地法の許可をもらうことを条件に所有権を移転してもらうという仮登記をすることができます。
「条件付所有権移転仮登記」と言い、これはしっかり登記されるので、
他の人に権利を持っていることをアピールすることができます。

そして、無事に農地法の許可を取得できたら
その許可証をつけて正式な所有権移転登記をします。
この正式な所有権移転登記を「本登記」と言います。

では、この仮登記はどんな効力を発揮するかというと
例えば、仮登記が入っている不動産を第三者(「B」とします)が購入して所有権移転登記をしたとします。
しかし先に仮登記を入れた人(「A」とします)が優先して権利を取得することができるので、
仮登記を入れたAはBを無視して本登記をすることができます。
本登記をすると、Bの所有権移転登記は登記官によって職権で抹消されます。

Bのようにならないためにも、不動産を購入するときには専門家にお願いして
事前にしっかりと登記情報確認しておくことが必要ですね。

ふくおか司法書士法人では、仮登記のサポートもしっかりとさせていただきます。
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