コラムColumn

権利証(登記識別情報通知)を紛失した場合の事前通知制度とは

2022.09.19

エアコンが壊れて数日経ちます。
私は気合も根性も忍耐力もない人間なので、
誰よりも早くエアコンが壊れたフロアから撤退しました。
今では面談室が自席と化して色んなものがとっちらかってます。

さて今日は権利証(登記識別情報も含む)を紛失してしまった場合の手段の1つである
事前通知制度について、です。

権利証を紛失した場合、一般的な不動産取引では
事前通知制度は使いません。

なぜ使わないのか一言で理由を説明するなら、、
「きちんと登記が完了するかどうか危なっかしくて生きた心地がしないから」
です。

事前通知制度って一体何なの!?
生きた心地がしないくらい一体なにが危なっかしいってどういうことなの!?
についてまとめてみました。

不動産登記申請と権利証

不動産を売買などで移転したり、抵当権をつけたり消したりする場合に
権利証(登記識別情報通知)の提出が必要です。

これを提出する意義は、
本人ですよ!登記していいですよ!ってことを登記官に分かってもらうためです。

不動産の登記は法務局に申請します。
そしてそこにいる登記官が審査をしていきます。
審査といっても、登記官が不動産取引の度に一人ひとりと面談することはできないので
権利証や印鑑証明書を提出することで、
本人が理解して納得して登記申請に関わっているんだな
ということを書類で説得するといったイメージです。

では、書類不足により登記官を説得できない場合はどうなるのでしょうか?
不動産取引を諦めるしかないのでしょうか?
当たり前ですが、諦めることはありません。

例えば権利証を失くしてしまった場合、どうでしょう。
「再発行してもらう!!」できません。
権利証はすごく大切なものなので、
紛失すると二度と手に入れることはできないのです。
再発行できないので、他の制度を利用して登記申請をすることになります

それは、、
1司法書士に本人確認をしてもらう
2公証役場で本人確認をしてもらう
3事前通知制度を利用する

1と2は何となく何をするのか想像できますよね。
権利証を失くしたのでより厳重な本人確認を然るべき者にしてもらうという感じです。

では「3事前通知制度を利用する」って一体何なのでしょうか。

事前通知制度とは

事前通知制度とは、登記が完了する前(事前)に
法務局から「あなた本人?本当にこの登記申請して大丈夫?」
とお手紙(通知)が届く制度のことです。
このお手紙(通知)に対して
一定期間内(だいたい2週間以内)に
「間違いないです!」とお返事をすると無事に登記が完了します。
この「間違いないです!」のお手紙には、
登記申請時に委任状に押した実印で押印する必要があります。

では、冒頭で「登記が完了するか危なっかしい」
と書きましたが、この事前通知制度は何が危なっかしいのでしょうか。

事前通知制度の流れ

事前通知制度は、権利証を紛失した人の登記上の住所にお手紙が届きます。
それを受け取って実印で押印して法務局に届出が必要です。
この届出は法務局がお手紙を発送してから2週間以内に必要です。

皆さん、仕事や家事育児に忙しい生活を思い出してください。
普通に生活してたらこのスケジュールって結構タイトですよね。
ちょっと忘れてるうちに2週間なんてすぐに過ぎ去っていくものです。

ではちょっと忘れてるうちに2週間以内の届出に間に合わなかったらどうなるかというと、
その登記申請は却下されて、もう一度登記申請のやり直しが必要になります。

じゃあもう1回やり直せばいいじゃんって思うのですが、
そうはいかないの場合があるんです。

登記申請が却下されるとどうなる?

例えば、一般的な不動産の売買について考えてみます。
①まず買主は売主に売買代金を支払います。
②そして売主が売買代金を受領したことを確認して登記申請をします。

そうです、買主はまだ登記申請していない状況で多額の売買代金を支払うのです。
これは買主にとってはすごくリスクが高い行為です。
では買主は一体何を信頼して登記申請前に売買代金を支払うかというと
売主から権利証などの登記申請に必要な書類を全て預かって
登記申請が完了することは殆ど約束されている状況だから先に売買代金を支払うのです。
そして事前の準備や書類のチェックを行って
「登記申請できるので、売買代金を支払って大丈夫ですよ」と取引をお手伝いするのが
我々司法書士の仕事です。

しかし事前通知制度はこの登記完了が
登記申請後の売主の協力にかかっているという不安定な状況なのです。
こんな感じです。

①買主が売買代金を支払って登記申請をする
②法務局から売主の自宅にお手紙が届く
③売主が2週間以内に返信をしなかった
④登記申請は却下される
⑤登記名義は売主のまま、売買代金は売主が受領している状態となる

自分が買主だったらと考えるとぞっとしますよね。
そんな取引したいですか?
したくないです。

こんな理由から一般的な売買取引などで事前通知制度を利用することはあまりありません。
では事前通知制度はどのような場合に利用されるのでしょうか?

事前通知制度が利用される場面

事前通知制度がよく利用される手続きとして、
抵当権の抹消登記があります。

住宅ローンなどによって設定された抵当権は、
ローンを完済すると、抵当権を抹消するための書類が一式郵送されてきます。
この書類一式の中に権利証も入っているのですが、
「何かよく分からないうちにどこかにいってしまいました、、」
ということは割とよくあります。

先に説明したとおり、権利証は再発行できませんので、
こんな場合は事前通知制度を利用します。

抵当権の抹消登記申請をすると法務局から
本来権利証を提出すべきであった金融機関にお手紙が届きます。
金融機関がこれに対して2週間以内に返事をすると、無事抵当権抹消登記が完了するという流れになります。

これは先ほど説明した売買の場合と何が違うかというと、
・金融機関が事前通知制度を頻繁に行っているのでほぼ間違いなくお手紙の返信をしてくれる
・所有権移転などと違いどちらか一方にとってハイリスクとならない
※抵当権抹消も、一緒に所有権移転などがある場合は結局リスクは高くなるので事前通知制度は利用しません。

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