コラムColumn

未登記建物はほぼ売却できない!?どうしたらいい?

2024.03.29

以前から賛否はあるようですが、日本の入学・進級は4月です。
これに合わせて新居購入はやはり3月が多いようです。
そして司法書士事務所はこの新居購入時期に自ずと忙しくなります。
何故かというと新居を購入すると登記申請が必要だからです。

今日は家を新築したり増築したときに、その登記をしていなかった場合のお話です。

未登記建物とは

未登記建物とは、建物自体は存在してるけど登記が存在しない建物のことを言います。
家を新しく建てるとまずしなければいけない登記が表題登記です。
表題登記とは登記の土台のようなもので、
その建物の所在や家屋番号、構造や床面積などが登記されます。
法務省が公開している建物登記の見本はこちら

この見本の「表題部(主である建物の表示)」という欄が表題登記です。

建物の表題登記は建物を引き渡されてから1か月以内にする必要があります。
「必要がある」という言葉のとおり、表題登記は義務なんですよね。
相続登記が義務化されると世間で騒がれていますが、
建物の土台である表題登記は、いにしえより義務とされており、
やらなければいけないことをやっていれば未登記建物は存在しないはずです。

何で未登記建物が存在する?

じゃあ何で未登記建物が存在するかというと、
話は簡単で、新築や増築したときに登を記していないからです。

「え?そんなこと許されるの?」と思いますよね。
もちろん許されないんですが(罰則もあります)
登記はあくまで建物を建てた後の話で、
建物を建てるために登記が必要というわけではないんです。
なので、現実問題として登記をしなくても家は建てれるし、
その後登記していない未登記建物が存在するということなんです。

未登記建物は売却できる?

結論から言うと、未登記建物は売却はできます。
何となく、話の流れとか雰囲気からできなさそうな感じでしたが、売却自体はできます。

ただ、できるというのは売買契約は結べるという机上の空論というか法律上の話で、
実際に未登記建物を買う人がいるかというとほぼ皆無です。
この謎を解くキーワードは「登記」と「第三者対抗要件」です。

不動産の登記は第三者対抗要件!?

第三者対抗要件なんて難しい言葉が出てきましたが、
私なりに第三者対抗要件を簡単に説明すると、
他人に「これは私の物だ!」と胸を張って主張するための武器です。
不動産を「私の物だ!」と他人に主張するには、登記が必要ってことなんですよね。
逆に言うと、登記をしていないと「私の物だ!」と主張することが難しくなってしまうと言うことです。

例えばこんなことがあったとします。

ブルマは家を建てました。この建物を「カプセルハウス」といいます。
このときブルマはドラゴンレーダーの修理で忙しかったので、カプセルハウスの表題登記を忘れていました。
ブルマはカプセルハウスをクリリンに売却しました。
売買契約などは結びましたが、未登記のままです。
後日ブルマは同じカプセルハウスをヤムチャに売却しました。
クリリンとの売買契約についてヤムチャは何も知りません。
しっかり者のヤムチャはカプセルハウスの表題登記や所有権移転登記をして「所有者ヤムチャと」登記されました。

ちょっと想像しにくい話かもしれませんが、
こんな感じで同じ建物(カプセルハウス)を別の人(クリリンとヤムチャ)に売却してしまった場合、
カプセルハウスはどちらのものになると思いますか?
「先に購入したクリリンのものでしょ!」と思いたいですが、
これは登記をしているヤムチャのものになるんです。
ヤムチャは武器(登記)をもってるので「これは私の物だ!」とクリリンに胸を張って主張することができます。
対するクリリンは最初に購入したけど、武器(登記)を持っていないのでヤムチャと戦えないわけです。
先に購入したクリリンが何だか可哀そうな気がしますが、
これが第三者対抗要件という不動産登記の世界のルールです。

そこでクリリンのようにならないために、不動産を購入する場合には登記をする必要があります。
ただし、ブルマ⇒クリリンに所有権移転登記をするためには、
まずそもそもの登記の土台である表題登記をする必要があります。

なので、
表題登記がない⇒所有権移転登記ができない⇒買いたい人いない⇒現実的にほぼ売却できない
ということになるのです。

住宅ローンのお話

因みに、未登記建物では住宅ローンを組むこともできません。
住宅ローンを組むと担保としてその建物に抵当権設定登記をすることが殆どですが、
表題登記がない建物は抵当権設定登記もできません。
金融機関が無担保でお金を貸してくれるなんてことは夢物語なので、
表題登記がない建物では住宅ローンも組めないということになります。

売却したければ表題登記が必要

ここまでのお話で分かるように、不動産を売却したければ表題登記が必要です。
建物の表題登記は建物を引き渡されてから1か月以内にしなければいけませんが、
もちろん1か月を過ぎてもすることができます。
さらに売却するためにもう1つ「所有権保存登記」も必要です。
所有権保存登記とは、その不動産の最初の所有者の氏名や住所を登記することです。
なぜ所有権保存登記が必要かというと、物権変動の過程を正確に登記しなければいけないという登記のルールがあるからです。
例えばカプセルハウスだと、
まずブルマが所有してその後ヤムチャに移転したという過程があります。
なので最初の所有者であるブルマの登記(所有権保存登記)をしてから初めて
所有権移転登記をして名義をヤムチャにできるのです。

未登記建物を放置するとどうなる?

未登記建物を放置すると、10万円以下の過料が課されるというルールになっています。
(現実に過料が課せられるかどうかは別として)
罰則があるからというよりは、
売却やローンを組みたいときに弊害となるので
お困りの方は専門家である土地家屋調査士にご相談ください。

固定資産税はしっかり課税されている

因みにですが、登記されていることと税金を払っていることは別問題です。
未登記建物でも役所はその建物の存在を把握しており、
毎年納税通知書が届いて税金の支払いをしていることが少なくありません。
税金を払っているからといって登記されているとは限らないので注意が必要です。

登記されているか確認方法

登記されているか不安な場合は以下の方法で確認ができます。
・固定資産税納税通知書に「未登記」と書かれていたり家屋区番号の欄が空欄になっている⇒未登記の可能性があります
・登記情報などの取得をしてみる(司法書士事務所へのご依頼をお勧めします)
・先に書いた「住宅ローンのお話」からも分かるように住宅ローンを組んでいる場合はほぼ間違いなく登記されている

建物登記はふくおか司法書士法人へ

今日メインでお話した表題登記は、実は司法書士ではなく土地家屋調査士のお仕事です。
そして、所有権保存登記や所有権移転登記は司法書士のお仕事です。
「え?全部やってくれないの?色んな専門家に依頼するのは面倒だな、、」と思われるかたご安心ください。

ふくおか司法書士法人では令和6年3月1日より代表司法書士の福島卓が土地家屋調査士の登録を完了しており、
表題登記にも対応しています。
建物登記の全てにスムーズに対応できるふくおか司法書士法人へお問合せください

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