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合資会社の社員が死亡した場合の手続き

2024.04.26

そのバスにどうしても乗りたくて、
30m(体感)くらいダッシュしたらとんでもない筋肉痛です。
実測10mくらいだったでしょうか。

皆さんは、日々運動していますか?
私はこれから、日々運動することを誓います。

さて、今日はあまり耳馴染みのない合資会社の社員死亡についてです。
合資会社は社員の構成が特殊なので、
社員が死亡した場合に他の種類の会社(合同会社など)とは異なる手続きが必要になる場合があります。

まずは、簡単に合資会社とは?からご紹介します。

合資会社とは

まず、あまり聞いたことがない「合資会社」とはどんな会社なのでしょうか。
合資会社は持分会社に分類される会社のことです。

持分会社は株式会社のような会社の種類のことで、
図で表すとこんな感じです。

株式会社と持分会社があって、
持分会社の中に合同会社・合資会社・合名会社があります。

この株式会社と持分会社の違いは沢山ありますが、
今回の話に関係あるのが、出資者(社員)の責任です。

出資者(社員)の責任の違いとは?

出資者の責任とはどのようなものか?
をイメージしやすいのが株式会社の株主です。
例えばどこかの株式会社の株を買って株主(出資者)になったとします。
その後、この会社が倒産してしまいました。
このとき、株主はどのような責任を負うと思いますか?

債権者から株を購入した会社の債務について督促があるでしょうか?
ないですよね。だって、株買っただけですから。

督促されないのは当然のことのように思いますが、
これもきちんと会社法にルールが定められているからなんです。
その定めとは、「株式会社の株主は間接有限責任しか負わないですよ」というものです。

この間接有限責任とは、「出資者は自分が出資した額を限度として責任を負う」というものです。
あら?やっぱり責任追うの?と思われたかもしれませんが、
これは例えば300万円で株を購入してその後会社が倒産して、
その株が紙切れになっても300万円は返しませんよといったイメージです。
出資した300万円を限度として責任もってねってことです。

一方の持分会社の出資者(社員)はどのような責任を負うかというと、
会社の種類によってさまざまな責任を負う社員が存在します。
合同会社:間接有限責任社員(株式会社の株主と同じ責任)
合名会社:無限責任社員
合資会社:無限責任社員+直接有限責任社員

ここで今回のお話の合資会社が登場しました。
合資会社は無限責任社員+直接有限責任社員で構成されている会社です。
どちらも存在してこそ合資会社を名乗ることができます。
では、例えばこんな会社があったとします。
会社名:合資会社ドラボール
無限責任社員:悟空
有限責任社員:ブルマ

合資会社なので、必ず無限責任社員と有限責任社員各1名以上が必要なので、
それぞれ悟空とブルマが社員として合資会社ドラボールを設立しました。
しかし突然、無限責任社員である悟空亡くなってしまいました。
ということは、合資会社なのに有限責任社員だけになってしまいまったということです。
これ、どうなると思います?
無理くり無限責任社員を探してくる?会社は解散する?
どうなるのでしょうか。

直接有限責任社員、無限責任社員とは

直接有限責任社員とは、責任を負う額は出資額の限度ですが、
株主と違うのは、債権者から直接責任追及をされるところです。
そして最も責任が大きいのが無限責任社員です。
これは会社の債務について無限に責任を負います。
会社に負債があり、会社の財産で間に合わない場合は、
無現責任社員の個人資産からの返済を余儀なくされるということです。
もちろんこれも直接責任なので、債権者から直接追及されます。

合資会社の社員が死亡した場合どうなる?

まず、死亡は持分会社の社員の法定退社事由なので、
死亡するとその社員は当然に退社します。(会社法607条)

そして死亡すると次に考えなければならないのが、
相続するの?という問題です。
これも会社法に規定されていて、
社員の地位は当然には相続されず、
定款に相続する旨の定めがある場合のみ相続人に社員の地位が相続されます。(会社法608条)

なので、先の例の続きだと、
①悟空が死亡すると合資会社ドラボールの社員を退社することになる。
②定款に相続の定めがあれば、チチ・悟飯・悟天が社員の地位を承継することになる。
なので、定款に定めがある場合は、
社員の退社と加入の登記手続きをして、合資会社ドラボールを続けて行くことになります。

では、定款に相続する旨の定めがなかった場合はどうなるのでしょうか。

定款に相続する旨の定めがない場合

定款に相続する旨の定めがない場合、
合資会社ドラボールの社員はこうなります。
有限責任社員:ブルマ

、、、足りないですよね。無限責任社員が。
なので合資会社を続けていくことはできません。
ということで、この場合は、定款変更したものとみなされて会社の種類変更が必要なのです。(会社法610条)

定款変更したものとみなされるとは

合資会社の唯一の無限責任社員が死亡して有限責任社員のみになった場合、
有限責任社員のみで構成される合同会社に定款変更したものとみなされます。

逆に、唯一有限責任社員が死亡して無限責任社員のみになった場合には、
無限責任社員のみで構成される合名会社に定款変更したものとみなされます。

無限責任社員が死亡⇒合同会社へ定款変更みなし
有限責任社員が死亡⇒合名会社へ定款変更みなし
ということです。

そして定款変更されたものとみなされた場合、
会社の種類変更の登記手続きが必要です。

種類変更の登記手続き

種類変更の登記手続きは、
変更後の会社の設立登記と変更前の会社の解散登記をします。

合資会社⇒合同会社に種類変更した場合
合資会社の解散登記と合同会社の設立登記が必要と言うことです。

必要書類

設立する会社の定款や社員の同意書、有限責任社員の出資証明書、代表者の個人の印鑑証明書など
設立する会社や状況によってさまざまなパターンがあります。
具体的に検討されている方は最寄りの司法書士事務所までお問合せください。

登録免許税

気になるのが費用です。
登録免許税はそれぞれ以下のとおりです。

合資会社・合名会社の設立:6万円
合同会社の設立:資本金の額×1.5/1000又は3万円の安いほう
解散:3万円

その他、司法書士へ依頼する場合は報酬がかかります。

相続人の持分の払い戻し

因みにですが、社員の地位を相続しなかった場合、
相続人は持分の払い戻しを受けることができます。

払い戻しのルールは会社法611条に
・出資の種類を問わず金銭で払い戻しを受けることができる
・退社時の持分会社の財産の状況によって計算される
などと規定されています。

社員の地位を相続せずに払い戻しを受ける方は、
税理士さんや会計士さんなどの専門家にご相談されることをお勧めします。

会社の登記はふくおか司法書士法人へ

今日はあまり耳馴染みのない合資会社の社員の死亡についてご紹介しました。
会社の定款や社員の構成などによってさまざまなパターンがあり、
このコラムでは大まかな概要のみのご紹介となりました。
具体的なご案内をご希望の方は、是非ふくおか司法書士法人までお問合せください

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