コラムColumn

【取締役会非設置会社】代表取締役の選定のあれこれについて

2024.03.26

先日「取締役が忙しくてわざわざ集まるのが難しいから、予め代表取締役を選んでおこう!」
みたいな内容のコラムを書きました。詳しくはこちらをご覧ください。

結論として基本的には予め代表取締役を選んでおくことはできるのですが、
じゃあそもそも代表取締役は取締役が選ばないといけないの?他に方法ないの?
など、代表取締役の選定についてご紹介します。

代表取締役は絶対選ばないといけないの?

そもそもの話ですが、代表取締役って絶対選ばないといけないものなのでしょうか?
「え?選ばないかんに決まっとるやん」(方言丸出し)と思いこまれてる方もいるかと思いますが、
実は代表取締役取締役の選定は必須ではなく、選びたいなら選んでねというスタンスをとっています。
選びたいなら選んでねとはどういうことか?というと、
会社法349条にその謎が隠されています。

会社法349条

取締役は株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表するものを定めた場合は、この限りではない。
②前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。

何が書いてあるかというと、
・①まず、原則として株式会社を代表するのは取締役だよただし、代表取締役を選んだらその人が代表する
・②取締役が2人以上いる場合は全員が代表する

つまり、
取締役が何人いようが基本は全員が代表取締役なんだけど、代表取締役を選んだ場合にはその人が代表者だよ。
ってことが書かれていて、代表取締役を選ばなければならないなんてどこにも書いてないんですよね。

では選ばなくてもいいということが分かったところで次の話です。
「そうね、選ばんなら選ばんでもいいんやね。けどうちの会社は選びたいんよ」
という場合には、必ず取締役によって選ぶ必要があるのでしょうか。
それとも他にも方法があるのでしょうか。

代表取締役の選定方法

「代表取締役を選びたいんよ」と思った場合の選定方法は会社法349条の続きに書かれています。

会社法349条続き

③株式会社(取締役会設置会社を除く)は、定款定款の定めに基づく取締役の互選又は、株主総会の決議によって、
取締役の中から代表取締役を定めることができる。

3つの選定方法が定められています。
①定款に直接書く
②「取締役の互選で選ぶ」と定款に書いておく
③「株主総会で選ぶ」と定款に書いておく

定款に直接書く

定款に直接書くとは、定款に直接代表取締役の名前を書くということです。
第〇条 当会社の代表取締役は、福島卓とする。

これは、あまり見かけないというか、私は現に有効な定款としては一度も見たことがありません。
代表取締役が変わるたびに定款変更が必要になってくるので、
手続きが煩雑になるし、ルールを定める定款に歴代の代表取締役をつらつらと書いていくのは
何だかちょっと格好がよくない気もします。(個人の意見です)

個人の意見はともかく、定款に直接書くことで代表取締役を定めることができます。

②「取締役の互選で選ぶ」と定款に書いておく

取締役の互選とは、取締役の過半数の賛成によって決定することです。
取締役は株主総会で選任する必要がありますが、
代表取締役は定款に定めておくことで取締役の互選で選任することができます。
この場合は代表取締役を選定する度に基本的には取締役が集まって話し合いをする必要があります。

③「株主総会で選ぶ」と定款に書いておく

定款に定めておくことで、代表取締役も株主総会で選任することができます
これは原則、普通決議で決めることができます。

普通決議とは

①議決権の過半数を有する株主が出席し
②出席した株主の議決権の過半数の賛成が必要

代表取締役の選定方法は定款変更することで変えられる

ここまで代表取締役の3つの選定方法についてみてきました。
早速定款を確認してみると、取締役の互選で代表取締役を選ぶことになっていました。
「ちょっと都合悪いわ。。どうしようか。」と思われている方、ご安心ください。
要件が整えばいつでも定款変更をすることができます。

定款は株主総会の特別決議でいつでも変更が可能です。
なので、例えば現在取締役の互選になっている場合も定款変更をして
株主総会の決議に変更することが可能です。

特別決議とは

①議決権の過半数を有する株主が出席し
②出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要

普通決議の要件よりも厳しめになっています。

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