資本金を増やしたいときの手続きやスケジュール~募集株式の発行~
2022.05.24
資本金を増加する方法
※このコラムは非公開会社の取締役会非設置を想定して書いています。
よく「増資したいんだけど~」とご依頼をいただきます。
増資とは、会社の資本金を増やすことです。
株式会社が資本金を増やしたいときの手段はいくつかあります。
その中でも今日は募集株式の発行による増資の手続きのスケジュールについてご紹介します。
募集株式の発行とは
会社が株式を発行して、その発行した株式と引換えに金銭などを振り込んでもらいます。
この振込んでもらった金銭を資本金にすることで株式会社の資本金が増えるという仕組みです。
そして金銭を払い込んだ人は株式を引き受けるので、その会社の株主となります。
全額を資本金にしなくてもいい
因みに、この払い込んでもらった金額の2分の1を超えない額は、資本金にせずに
資本準備金にすることが可能です。
募集株式発行のスケジュール
募集株式を発行して資本金を増やしたいと思っても
勝手に株式を発行したり引受人を決めたりすることはできません。
きちんと会社法で決められた手順に沿って進めていく必要があります。
①募集事項の決定
②募集事項の通知
③株式引受の申込
④割当
⑤金銭などの払込
⑥資本金が増える
①募集事項の決定
何株発行しようかな?金額はいくらにしようかな?
とかそんな内容を決めることを「募集事項の決定」と言います。
これは、非公開会社の場合は、原則として株主総会の特別決議で決めていきます。
募集事項の内容
①何株発行する?
②いくら払い込んでもらう?
③金銭以外の払込をする場合はどんな財産でいくらくらい?
④払込の期日又は期間はいつにする?
⑤払い込んでもらった金額のうちいくら資本金を増やす?
⑥申込の期日(株主割当の場合のみ)
株主割当とは
募集株式の発行には「株主割当」と「第三者割当」があります。
その名のとおり、
株主割当は発行する株式をその有する株式の数に応じて株主に割り当てる方法
第三者割当は株主割当以外の方法により株式を割り当てる方法
です。
※株主に割り当てる場合でも、有する株式の数に応じていなければ第三者割当となります。
②募集事項の通知
これは株主割当に限った話です。
もし①の募集事項の決定で、株主割当とした場合、
その株主は株式引受の申込をするかどうか検討する時間が必要です。
その期間として
①の募集事項の決定決議と③の引受申込の期日を2週間は空けましょうね。
という決まりがあります。
但し、総株主の同意があれば2週間空ける必要はありません。
株主のための検討期間なので、株主全員がいいって言ってるなら不要だよね
ってことです。
③株式引受の申込
株主割当の場合も第三者割当の場合も
引受の申込が必要です。
④割当
③の申込をもとに、株式を割り当てます。
この割当は株式会社が自由に決定できるので、
申し込み順にも拘束されませんし、申込があった株式の数より少数の株式を割り当てることもできます。
しかし割り当てる株式が譲渡制限株式の場合は、
株主総会の特別決議で割当をする必要があります。
総数引受契約の場合
総数引受契約とは、発行した株式を1人または複数人で全て引き受けるという契約です。
予め株式引受人が決まっている状態で色んな手続きを進めていきます。
総数引受契約がある場合、予め株式引受人が決まっているので
③と④の手続きは不要です。
しかし、発行する株式が譲渡制限株式の場合は、
そのこの総数引受契約について株主総会特別決議で承認が必要です。
⑤金銭などの払込
①の募集事項の決定で決められた払込期日又は期間に金銭などを払い込みます。
払込期日の場合は期日に、
期間の場合は払込をした日にめでたく株主となります。
金銭以外の出資も可能
①の募集事項の決定で決めていれば、金銭以外の出資も可能です。
金銭以外の出資のことを「現物出資」と言い、
場合によっては裁判所に対して検査役の選任を申し立てたりと
手続きが煩雑になる可能性があります。
ご検討される場合は事前に司法書士にご相談ください。
⑥資本金が増える
⑤で払い込まれた金額のうち
①の募集事項の決定で決めた額が資本金となります。
登記をお忘れなく
資本金の額は登記事項です。
なので、資本金が増えた場合は
①-④で決めた払込期日又は払込期間の末日から2週間以内に変更登記申請が必要です。
是非ふくおか司法書士法人までご相談ください。
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