コラムColumn

商号や屋号を引き続き使用したい場合の免責登記とは?

2023.01.30

先日、結構レアなご依頼をいただきました。
「商号の譲渡人の債務に関する免責」の登記です。
レアなんですが、なんとなく文言からどんな登記か伝わるような気がします。

これは、事業譲渡などをするときに、
譲渡人の債務について譲受人は責任追いませんよってことを
債権者や第三者などにアピールする登記です。

具体的にみていきます。

免責登記とは

具体的な事例でご紹介します。
株式会社福岡が株式会社佐賀からスーパーマーケット事業を譲り受けました。
その際、株式会社福岡は会社名を株式会社佐賀に変更しました。

株式会社福岡が株式会社佐賀の商号を使い続けて(続用と言います)その事業をするということです。
これって傍からみると、ずっと同じ会社がスーパーマーケット事業をやってるように見えますよね。
事業譲渡とか商号変更なんて知らないから、そう思うのは当然と言えば当然です。
なので債権者は事業譲渡前の債権についても株式会社佐賀(旧株式会社福岡)に請求するんです。
こうなると譲受会社である旧株式会社福岡は困るわけです。
「え?それうちじゃないんやけど、、」と。

原則の話をすると、
事業譲渡は包括承継(あれもこれも全部もらいますよってこと)ではないので、
譲渡する事業に属する債務を当然に承継するわけではありません。
なので普通だったら旧株式会社福岡は「それ、うちじゃありません!」と胸を張って弁済を拒否できます。

(ここからが例外です)
しかし今回は誤解を生むようなことしてますよね。
会社名が同じだから債権者が勘違いするものやむを得ない感があります。
なので「当事者間の契約で承継していない債務でも、商号を続用して引き継いでるような外観がある場合には
譲受人はその債務を弁済する責任を負う」というルールがあります。

【事業譲渡する+商号を続用してる=弁済責任を負う】
ということです。

じゃあ譲受会社は責任を負いたくない場合どうしたらいいのか?
というときに利用するのが「商号の譲渡人の債務に関する免責」登記です。
商号の譲渡人の債務に関する免責登記とは、
営業を譲渡した後、遅滞なく譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記すると、
その責任を負わくていいですよーというものです。
こうしておくことで旧株式会社福岡は株式会社佐賀の債務について弁済責任を免れることができます。

さて、ここまでご紹介した事例は「商号」を続用した場合でしたが、
「商号は続用しないけど、屋号は続用したい」という場合に、
この免責登記は使えるのでしょうか。

屋号を続用する場合も免責登記できる?

株式会社福岡が株式会社佐賀からスーパーマーケット「スーパーふくしま」の事業を譲り受けることになりました。
商号は続用せず株式会社福岡のままですが、
「スーパーふくしま」という屋号は引き続き使用することになりました。

商号は続用しないけど屋号は続用するパターンですが、
この場合も免責登記が可能です。

原則、事業譲渡をしたからといって弁済責任はありません。

しかし例外として、
商号続用と同様、同じスーパーマーケットの名前でやってたら
中身の経営者が変わったなんて分からないから弁済責任を負います。
【事業譲渡する+屋号を続用してる=弁済責任を負う】ということです。

なので、免責登記をして弁済を免れることができるということなんです。

それではこの免責登記をする場合、どのくらい費用がかかるのでしょうか。

免責登記の費用

免責登記をする場合、登録免許税がかかります。
登録免許税は3万円です。
その他、司法書士に登記を依頼する場合には、
事務所ごとに申請の報酬や各種書類作成費用が掛かります。

会社の登記はふくおか司法書士法人へ

ここ数年で事業承継はかなり活発になってきており、
それに伴う株式譲渡や商号変更、目的変更などのご依頼も増えてきています。
事業譲渡をされている法人様は今回ご紹介した免責登記も検討すべき事項ではないかと思います。
会社の登記はふくおか司法書士法人までお問合せください。

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