取締役が後見開始の審判を受けたらどうなる?
2023.02.07

ずっと取締役1人でやっていた会社。
そろそろ世代交代かな。。
と動き出してうまく事業承継ができればいいですよね。
先日、1人株主兼取締役が亡くなったら会社はどうなる?というコラムを書きましたが、
今日は不慮の事故や病気などで急に社長が意思能力を失ってしまった(後見開始した)場合、会社はどうなるの?
についてまとめてみました。
在任中の取締役が後見開始の審判を受けたらどうなる?
取締役と会社の関係は雇用関係ではなく委任関係になります。
この委任関係は終了事由というのがきちんと民法653条で定められており
その中に「後見開始の審判を受けたこと」と書かれています。
取締役が後見開始の審判を受けると会社と取締役の委任関係が終了する=取締役は退任する
と言うことになります。
1人で取締役をしていた会社の社長が退任してしまった場合にしなければならないのが
新たな取締役の選任です。
じゃあ早速株主総会で新しい取締役を決めようではないか。
と思ったら、だいたいこういう1人取締役の会社は、
この取締役が株式を全部保有してるんですよね。
株主が後見開始の審判を受けた場合、
誰が株主総会を開いて誰が新たな取締役を選任するのでしょうか。
株主が後見開始の審判を受けたらどうなる?
なんとなく予想はつきますが、
株主が後見開始の審判を受けた場合、
その後見人が代わりに株主総会を開いて新しい取締役を選任することになります。
とはいえ後見人が勝手に決めるというのは現実的ではないので、
実際は後見人が親族や従業員などその会社の状況を把握している人と相談して取締役を選んでいくことになります。
ここまでの結論をまとめると
1人取締役が後見開始の審判を受けた場合、
①取締役は委任契約の終了事由により退任となる
②後見人が株主総会を開いて新たな取締役を選任する
ということになります。
では、一度後見開始の審判を受けた取締役が改めて取締役に就任することはできるのでしょうか。
成年被後見人は取締役になれる?
「え?なれるわけないやん。」って思われるかもしれませんが、
実は成年被後見人も取締役になれるんです。
少し前まで会社法331条1項2号の規定により、被後見人は取締役になることができませんでした。
しかし令和3年3月1日施行の会社法の改正でこの331条1項2号が削除され、
成年被後見人も取締役に就任することができるようになりました。
先程ご紹介した委任の終了事由と矛盾しているように感じますが、
考え方としては、
一旦委任関係終了するから退任してもらうけど、
それでもやってほしいって場合は選任することができるよ。
ということでしょうか。
しかし取締役の就任は選任と就任意思の合致により成り立つはずなので、
実際に就任できるかどうかは謎です。
一時的に意思能力が回復しているときに就任承諾するとかになるんでしょうか。
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