会社を設立するメリット・デメリットを司法書士が解説します
2019.03.07
個人事業と法人の違い
「サラリーマンを辞めて独立するぞ!」「一国一城のあるじになるぞ!」
そう考えたとき、まず始めることは
「会社を作ること」 と思われるかもしれません。
しかし、事業を始めることは、会社を作ることとは同義ではありません。
実際に、「会社を設立したい」とご相談に来られる方の多くが現在は個人事業主として事業をされています。
「事業が軌道に乗ったから」「売上が上がったから」という理由で個人事業から会社に変わろうとするのです。
会社は「法人」といって、法律では、法人にも人格があると考えられています。
イメージで言うと、個人事業では、自分という一人の人間が仕事をしていたのに対し、会社になると、「法人」という、人が乗り込める大きなロボットを社長がレバーを引いたり押したりして操作している感じです。←伝わるでしょうか?
つまり、会社を設立すると、「法人」という個人とは別の人格で仕事をすることになります。
個人事業と法人の一番の違いは税金の仕組み
個人事業と会社では税金面が全く違います。
個人事業では、収入から経費を差し引いた所得全てに所得税が掛かります。この所得税は、累進課税なので、所得が上がれば上がるほど、税率が高くなります。
因みに、所得税の最高税率は、45%です。
この事実を見ていつも思うのは、高所得の代表格超一流野球選手の税金のこと。
「契約金1億!!」なんてザラなので、そのたびに、あー、その半分は税金かー。ありがたいやら、かわいそうやら、と思っていましたが、今回調べてみたら、プロ野球選手の契約金は、「臨時所得」と言って、一度にもらう契約金を5年間で分割して受け取ったとみなして計算される、つまり、税金が安くなる配慮がされいるそうです。あー。よかった。
話を元に戻すと、個人事業主では、頑張って所得を上げれば上げるほど税金が高くなるのですね。
その点では法人税も同じですが、その最高税額は約24%と所得税に比べて低いものになっています。
また、法人では、個人事業では経費に出来なかった自分や家族従業員への給料も経費に出来るので、個人事業に比べて大きな節税となります。
今回紹介した税金の違いはごく一部で他に多くありますが、その殆どが法人のほうがメリットがあります。
一般的には、
利益が500万円超えるとき、またが課税売上高が1000万円を超えるとき
が個人事業主が法人化して税金面で有利になると言われています。
個人事業より法人の方が信用が高い
あなたがビジネスにおいて取引をするとき、目の前に
個人事業主の「鈴木一郎」さんと株式会社なにがしの代表取締役「鈴木一郎」さんがいるとします。
そして、どちらもとてもきな臭く信用できなさそうだったとします。なんだか、名前も偽名のような匂いがしていきました。。
しかし、どうしてもそのどちらかと取引をしなくてはなりません。与えられた情報は、その二人からもらった名刺だけです。
あなただったら、どちらと取引をしますか?
私なら、株式会社なにがしの鈴木一郎さんを選びます。ただし、法務局で登記簿謄本を確認した後、です。
登記簿謄本には、会社の本店所在地、設立年月日、目的、資本金、役員の氏名はもちろん代表者は住所ものっています。名刺は簡単に嘘の名前や肩書を書けますが、登記簿謄本は、設立時に印鑑証明の提出も必要ですし、費用も掛かり名刺ほど簡単には嘘の実態は作れません。
ビジネスというリアルな場で、信用を裏付けするために登記簿謄本を持ち歩いている人なんていないでしょうし、取引をするたびに相手の会社の謄本を確認している人もいないでしょうが、何らかのときには実態の裏付けが取れる、という安心感が信用に繋がるのです。
法人の設立には費用がかかる
個人事業主になりたい、と思ったら、税務署に「開業届」を提出して下さい。
それだけです。つまり、費用も手間も掛かりません。
しかし、株式会社などの法人を設立するには、法務局に会社設立の登記申請をしなければならず、そのためには、「定款」という会社の決まりをまとめたものに「認証」と言って、公証役場のお墨付きをもらわなくてはなりません。
司法書士事務所に設立登記を依頼すると手間は掛かりませんが、費用は30万円程度掛かりますし、自分でしても、実費だけで24万円程掛かります。
また、やっぱり事業は辞めた!という場合に、個人事業であれば税務署に「廃業届」を出すだけですが、法人の場合には、解散の登記と精算の登記が必要で時間もお金も掛かります。
まとめ
【個人事業から会社に変わることを法人化といいます。】
・利益が500万円超えるとき、またが課税売上高が1000万円を超えるときに、個人事業から法人化することで税金面で有利なことが多いです。
・一般的に法人の方が信用があります。
大きな企業には、法人でないと取引しない、と決まりのある会社もあります。
法人化により取引出来る会社が増えることで売上を増やすチャンスになります。
以上がこの記事で具体的にご紹介した会社設立のメリットですが、それ以外に個人事業では代表者が負っていた事業に関わる全ての責任を、法人化することで出資の範囲内に収めることが出来る、つまり責任を有限化できる、というメリットもあります。
しかし、法人化することで、社会保険料の負担が増えたり、会計処理が複雑になり事務作業の負担が増える、というデメリットも有ります。
個人事業主から法人化を検討されている方。
これから事業を初めたいが、個人事業か会社設立か悩まれている方。
具体的なメリット・デメリットをご説明のうえ、貴方様にあったご提案を致します。
是非、ふくおか司法書士法人へご相談下さい。
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