株主総会や取締役会への出席義務や押印義務
2022.12.19
会社の各種登記をするためには殆どの場合、
株主総会や取締役会を開催してその変更内容について決議をします。
この株主総会や取締役会には定足数や捺印者・捺印すべき印鑑など様々な要件があります。
今日はそんな株主総会・取締役会への役員の出席義務と定足数についてまとめてみました。
株主総会
まず、株主総会でどんなことを決めていくのかというと、
その会社が取締役会を設置しているかどうかで異なります。
取締役会設置会社:会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限り決議できます。
取締役会非設置会社:株式会社に関する一切の事項について決議できます。
取締役会を設置していない会社では一切の事項を株主総会の決議で決めることができ、
大きな権限をもっていることが分かります。
この株主総会には「株主」が様々は事項を決議するために集まります。
では、株主ではない取締役や監査役はこの株主総会への出席義務があるのでしょうか。
各役員の株主総会への出席義務
いきなり結論ですが、実は会社法では株主総会の成立要件に取締役・監査等の役員の出席は挙げられていません。
出席しなくても株主総会は成立しちゃくことになるんですね。
しかし、一方で会社法にはこんな条文があります。
(会社法314条)
取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、
当該事項について必要な説明をしなければならない。
どういうことかと言うと、
役員等が出席してなくても株主総会は成立しちゃうんだけど、
役員等は株主総会で株主からの質問に説明する義務があるから、
じゃあやっぱり出席してないとだめだよね。ってことです。
なので、よっぽどの事情がない限りは役員等はきちんと株主総会に出席して、
株主総会議事録にも出席取締役として記載しておくことが望ましいです。
押印は必要?
次に株主総会議事録のお話です。
会社は株主総会を開催すると、その議事録を作成して本店で10年間保管しなくてはなりません。(会社法318条)
では、この株主総会議事録には誰がどんな印鑑を押さなければならないのでしょうか。
これは結構驚きの事実なのですが、
実は、会社法に株主総会議事録への押印規定はありません。
押印規定がないとはどういうことかというと、
議事録作成して押印してなくても、それはそれで有効な議事録ということです。
しかし、法務局に提出する株主総会議事録は、
その決議内容によっては押印者や押印すべき印鑑が決められています。
法務局提出議事録のルール
原則株主総会議事録への押印規定はありませんが、
取締役会非設置会社が代表取締役を株主総会で選定したときには押印ルールがあります。
パターン①
押印者:変更前の代表取締役
押印する印鑑:変更前の代表取締役が届出している会社実印
パターン②
押印者:議長及び出席取締役全員
押印する印鑑:個人の実印
これは、会社の乗っ取り防止の観点から設けられた規定です。
会社が知らない間に勝手に議事録を作成されてよく分からない印鑑を押して代表取締役を変更されていた
といったことがないように、会社の代表取締役の変更登記をするときは、
パターン①又はパターン②のルールに従った押印が必要です。
取締役会
次に取締役会です。
まず、取締役会では何を決議するのか?というと、
主に会社の経営に関わる以下のような内容を決議していきます。
・重要な財産の処分や譲受
・多額の借財
・支配人などの重要な使用人の選任や解任
・支店の設置や変更、廃止など
なお、会社法で株主総会で決議するとなっている事項を取締役会で決議することはできません。
では、取締役会の出席義務者はどのようなメンバーになのでしょうか。
各役員の株主総会への出席義務
「取締役会」というからには、取締役は出席義務者です。
そのため、取締役会は決議に関わることができる取締役の過半数が出席することが定足数となっております。
出席者の過半数の賛成を得ることが決議要件となっています。
では、監査役や会計監査人は取締役会に出席義務があるのでしょうか。
(監査役)
監査役は、取締役会に出席して必要があるときは意見を述べなければならない
という会社法の規定から取締役会への出席義務があります。
(会計限定監査役)
非公開会社など一定の要件を満たした場合、
監査役の権限を会計に関するものに限定することができます。
この会計限定している監査役は、取締役会への出席義務はありません。
押印は必要?
では、取締役会に出席した取締役などは議事録への押印は必要なのでしょうか。
出席取締役:押印義務あり
出席監査役:押印義務あり
出席会計限定監査役:押印義務あり
出席したら全員押印義務はあるということですね。
では押印する印鑑に決まりはあるのでしょうか。
議事録の押印ルール
取締役会議事録では出席者全員に押印義務があります。
そして押印する印鑑は基本的には認印でも実印でも何でもOKです。
しかし代表取締役を選定している取締役会議事録は押印ルールがあります。
パターン①
押印者:変更前の代表取締役
押印する印鑑:変更前の代表取締役が届出している会社実印
パターン②
押印者:出席者全員
押印する印鑑:個人の実印
これも株主総会議事録で説明したことと同じく、会社の乗っ取り防止の観点から設けられた規定です。
会社が知らない間に勝手に議事録を作成されてよく分からない印鑑を押して代表取締役を変更されていた
といったことがないように、会社の代表取締役の変更登記をするときは、
パターン①又はパターン②のルールに従った押印が必要です。
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