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資本金の払込みについての徹底解説【会社の登記方法】

2019.04.24

会社の資本金の払込についての徹底解説!

株式会社の設立方法には、発起設立と募集設立の2つの方法があります。
「発起設立」・・・発起人が発行株式の全部を引き受ける方法
「募集設立」・・・発起人が発行株式の一部を引き受けて、それ以外の株式を引き受ける者を募集する方法

中小企業はほとんどが発起設立(金銭出資)で、私共が登記させて頂くお客様も発起設立を採用される方が多いです。

 発起人は、設立時発行株式の引き受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない(会社法34条1項)

資本金の払込みのタイミングは、原則として定款認証後にされるべきとされていますが、定款認証前に払込みがなされた場合でも、その払込みが定款作成日または発起人全員の合意書作成日以降であれば、設立登記の申請は受理される取り扱いになっています。

この取扱は司法書士にとっては非常に好都合。設立までのスケジュールに柔軟性が生まれます。

 

 「資本金は、設立登記が完了するまで、引き出して使ってはいけませんか?」

という質問をよくお受けしますが、結論として、資本金は入金後すぐに使って頂いて結構です。

旧商法時代は、設立後でなければ一度払い込んだ出資金を引き出すことはできませんでしたが、現在の会社法では、設立前に引き出すことができようになりました。

入金後すぐに引き出して、登記申請時に資本金額の残高が残っていなくても全く問題ありません。

  出資金の払込みは、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。(会社法34条2項)

出資金の払込みは、原則として発起人名義の口座にする必要がありますが、発起人ではない設立時代表取締役名義の口座に払込みをすることができます。ただし、この場合、発起人が設立時代表取締役に出資金を受領する権限を委任した委任状を添付しなければなりません。発起人が複数いる場合には、そのうち1人からの委任状で結構です。

この方法は、発起人が外国人で日本の金融機関に口座を持っていない場合に利用されます。

それでは、発起人・設立時代表取締役がともに日本の金融機関に口座を持っていない場合にはどうすればよいでしょうか?

この場合、登記申請書の添付書類から、発起人・代表取締役全員が日本国内に住所を有していないことが明らかな場合に限って、第三者の口座に資本金を振り込んでもOKという決まりになっています。その場合にも委任状が必要になります。当事務所では、登記申請の委任と共に払込金受領権限も委任を受け、当事務所の預り金口座にお振込み頂いております。

 資本金の払込は「振込」が必要

設立登記の打ち合わせをする際に、勘違いのないように気をつけてご説明するのが、この払込方法についてです。

以前こんなこと失敗がありました。

「資本金の振込をして下さい」と伝え、「出来ています」という報告を受けて渡された通帳にその振込が確認できない。戸惑う私の前でお客様は不思議そうな顔。

「あのー、、振込が確認できませんが」と続けましたが、「いや、そんなはずはない、ちゃんと確認して下さい、ほら〇〇円以上残っているでしょう?」とのこと。

そこで、お互いの「振込」に関する認識の違いに気が付きました。

お客様は、資本金額の預かり入れが結果的に出来ていれば、その口座には払込ができているから大丈夫、と思われたのですね。この点は、私の説明不足だったと反省しています。

 出資金の払込みの金額は、たとえば資本金を50万円と定めた場合、50万円ちょうどである必要はありません。50万円を超える金額が通帳に記載されていても問題はありません。ただし、50万円未満の金額は不可です。

つまり、結果的に定めた資本金以上の金額が振込されたとしても、一回に振込んだ金額が資本金以下だった場合には、カウントされません。

 「振込」が必要!「入金」はダメ?

そして、もう一つ。間違い易い注意点をご説明します。

今、銀行にいるとして、あなたは通帳を2冊もっています。片方の通帳からもう片方の通帳へお金を移したい時、あなたはどの方法を取りますか?

私は、必ず、一方の通帳から移したい金額のお金を「引出し」て、もう一方の通帳に「入金」します。

この時、間違って「振込」用紙を選んでしまうと、振込手数料が掛かりますので注意して下さい。

しかし、大きなお金が動く取引では、基本的にはお金が掛かってでも「振込」をすることが多いです。振込みであれば、入金と異なり「振込人」の記載が残ります。この記載が後々のトラブル防止にも役立つことがあるからです。

前置きが長くなりましたが、会社の設立でもこの「振込」を使うことが基本です。

振込人の記載がないと、各発起人が確実に振込をした事実を証明することが出来ません。

しかし、発起人が1人の場合には、「入金」でも問題ありません。

 

 設立登記の申請には、「払込みがあったことを証する書面」を添付します。

 この「払込みがあったことを証する書面」とは、設立時代表取締役の作成した証明書に払込みの記載がある銀行等の預金通帳の写し等を合綴した書面です。
①表紙、②表紙を1枚めくったページ、③出資金の入金の記載があるページ

が必要になります。

それぞれのページを合綴し、各ページに会社の実印で割り印をして下さい。

 

 まとめ
  一言で「資本金の払込」と言っても上記で説明した通り、様々な注意点があります。
  会社設立登記をする際に、この資本金の払込方法が誤っていて、払込が認められないことになると、最悪の場合、登記申請は却下となります。
 ご自身で会社設立登記をされる際は参考にして頂ければ幸いです。

 

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