株式会社の原始定款の再発行ってどうするの?
2025.10.08

やったことありそうで、やったことなかったこと。
原始定款の再発行。
やったことありますか?
私は初めてご依頼いただいて(しかも2件連続で)、先日手続きをしてきました。
結構レア手続きなので忘れないよう書き残します。
原始定款とは
原始定款とは、会社設立時の一番最初に作成した定款のことです。
定款は会社設立後に、適正な手続きを経て変更することができます。
例えば、株式会社の設立時に以下のような定款だったとします。
商号:株式会社ふくおかたろう
本店所在地:福岡市
その後、株主総会決議を経て以下のような内容に変更したとします。
商号:株式会社さがじろう
本店所在地:佐賀市
この会社の履歴事項証明書を取得すると、
商号:株式会社さがじろう
本店所在地:佐賀市~
となっていますが、原始定款を取得すると
商号:株式会社ふくおかたろう
本店所在地:福岡市
になっています。
設立時に作成したそのままの内容の定款が発行されるということです。
ではこの原始定款はどのような手続きを経て再発行することができるのでしょうか。
原始定款の再発行手続き方法
まず、定款の再発行は、最初に作成した定款が、電子定款か紙の定款かによって手続きが異なります。
何が違うかというと、再発行してくれる公証役場が限定されるか否かという点です。
電子定款の場合、どこで原始定款を作成していようと、
全国どこの公証役場でも再発行の手続きをしてもらえます。
一方、紙の定款の場合、原始定款を作成した公証役場でしか再発行の手続きができません。
え?どっちか分からないな、、という場合、
会社設立時に専門家に定款作成を依頼されている方はほぼ間違いなく電子定款です。
ご自身で定款作成をされている場合、紙の定款の可能性が高いので、
一度定款作成をした公証役場に確認されてみてください。
ではここからは、先日実際に手続きをやってみた電子定款の再発行についてご紹介します。
電子定款の再発行手続き
流れはこんな感じです。
1.設立時に定款認証をしてもらった公証役場に電話する
2.公証役場に登簿管理番号を教えてもらう
3.再発の手続きをしたい公証役場に登簿管理番号や必要書類を提出する
4.『同一の情報の提供』の請求をする
5.『同一の情報の提供』の請求をした公証役場で原始定款を受け取る
1.設立時に定款認証をしてもらった公証役場に電話する
設立時に定款認証をしてもらった公証役場が分からない場合は、
記憶を頼りにとにかく公証役場に電話をしてみることです。
といっても全国の公証役場が対象ではなく、
設立時の本店所在地の都道府県内の公証役場です。
例えば、設立時の本店所在地が福岡市の場合、福岡県内のいづれかの公証役場で定款認証をしていることになります。
公証役場が特定できたら原始定款を再発行してほしい旨をまずは電話で伝えます。
2.公証役場に登簿管理番号を教えてもらう
公証役場から登記情報などの提出を求められます。
求められる書類は公証役場によって異なります。
登記情報だけでいいよ~の場合もあれば、
あれこれ求めてくる公証役場もありました。
書類を提出すると、登簿管理番号を教えてもらえます。
3.再発の手続きをしたい公証役場に登簿管理番号や必要書類を提出する
先に説明したとおり、
電子認証の場合、全国どこの公証役場でも原始定款の再発行をしてもらえます。
今回は最寄りの公証役場が都合がよいので、いつもお世話になっている福岡公証役場へ問合せをしました。
原始定款に必要な書類などは以下のとおりでした。
・登簿管理番号
・委任状
⇒委任者は限定されており、「対象の法人」か「当時の発起人」か「当時電子署名をした人」だそうです。
いづれかから実印を押した委任状をもらって公証役場へ提出する必要があります。
・印鑑証明書
⇒委任状に押印した印鑑の印鑑証明書も提出が必要です(原本還付可)
・設立時より商号が変わっている場合は変更したことが分かる謄本
4.『同一の情報の提供』の請求をする
オンライン申請にて『同一の情報の提供』の請求をします。
5.『同一の情報の提供』の請求をした公証役場で原始定款を受け取る
原始定款を受け取る日程を事前に公証役場と調整して予約をします。
予約した日に公証役場に出向いて原始定款を受け取ります。
とのこきに、委任状など必要書類一式を持参します。
原始定款の再発行方法についてご紹介しましたが、
そもそも原始定款を発行する必要があるの?
あるとしたらどんな時に有効なの?
についてご紹介します。
原始定款再発行が有効な場面
ここまで書いておいてあれですが、正直なところ、原始定款を再発行してもらう必要性はあまりありません。
なぜなら、原始定款をなくしてしまったとしても、新たに作成したらいいからです。
じゃあどんなときに原始定款の再発行をしてもらうかといと、
・どうしても原始定款の内容を確認したい場合
⇒例えば、登記されていない事業年度や細かい規定について確認したい場合など。
・自分で新たに定款を作成する自信がないけど、専門家に依頼すると定款作成の費用が結構かかりそうな場合。
⇒専門家に1から定款作成を依頼すると数万円程度の費用がかかることが殆どです。
一方で、原始定款の再取得は自分で書類を揃えて再発行の手続きができれば、手数料は1000円弱とかなり費用を抑えることができます。
こういった事情がなければ、
現在の内容に沿った定款を新に作成した方がメリットはありそうです。
ところで定款ってどんなときに必要なのでしょうか。
実は、一般的な登記申請で法務局に定款を提出することはあまりありません。
よくある、役員変更とか目的変更とかの登記申請をするときに定款の提出は不要なのです。
となると、定款って一体どんなときに必要なのでしょうか。
そもそも定款が必要な場面
登記申請時に定款の提出が必要な主な手続きは以下のとりです。
・株式会社の解散登記
・定款の定めに基づいて取締役の互選で代取を選定した場合の代取就任登記
・株主名簿管理人の設置登記
・一部の新株予約権の発行登記
見て分かるとおり、本当にごく一部の限られた手続きでのみ必要になります。
登記以外では、口座を作成するときに金融機関に提出を求められたり、
何か契約をするときに契約先から提出を求められたりといった感じでしょうか。
会社の登記はふくおか司法書士法人へ
今日は、原始定款の再発行手続きについてご紹介しまいた。
登記申請においては、そもそも定款が必要な場面も少なく、
費用やその後の保管などを考えて、
原始定款を再発行するのか、定款を新たに作成するのか検討する必要がありそうです。
ふくおか司法書士法人では、再発行・作成どちらも対応しており、
それに関連する法人登記にも幅広く対応しています。
法人登記えお困りの方はふくおか司法書士法人へご相談ください。
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