株主が亡くなって、その相続人が行方不明だったときの株券廃止の話
2025.10.23

税理士業界で流行ってるのかな?
ってくらい、税理士さんから立て続けに株券廃止登記のご紹介をいただきました。
今回はその中でも、
株主が死亡して相続人の1人が行方不明だから株が準共有状態になっている。
どうしたらいい?
というご相談をいただきましたのでご紹介します。
株券廃止の一般的な手続き方法
まず、株券を廃止するときに必要な一般的な手続きについてご紹介します。
株券を廃止する場合、実際に株券を発行しているかしていないかで手続きが大きく異なります。
株券を発行している場合
1.株主総会で株券を廃止する旨の定款変更決議をする
2.株券を廃止する旨の公告【かつ】株主に対して個別通知をする
株券を発行していない場合
1.株主総会で株券を廃止する旨の定款変更決議をする
2.株券を廃止する旨の公告【又は】株主に対して個別通知をする
ポイントは「2」の【かつ】と【又は】です。
株券発行会社は官報公告と株主に対する個別通知どちらも必要ですが、
株券不発行会社は公告か株主に対する個別通知どちらかでOKなのです。
官報公告にしても個別通知にしても手間や費用がかかるので、
どちらかでOKとなると負担はだいぶ軽減されます。
何故こんな違いがあるかと言うと、
株券を実際に発行しているなら「株券廃止しますよー」ときちんとお知らせする必要がありますが、
発行してないならそこまで厳密にする必要もないだろうという理由です。
ではここで本題の株主が亡くなっていたら、について考えていきます。
株主が亡くなっている場合、株は誰のもの?
先にご紹介したとおり、株券を廃止する場合、株主に個別通知をします。
そこで問題になるのが、株主が亡くなっている場合、
株は誰の物で、誰に通知したらいいの?ということです。
株式は法定相続通りに相続されない
遺産分割協議が終わって株式を誰が相続するのか決まっていれば、
その人に対して個別通知をしたらいいでしょう。
しかし、今回のように相続人が行方不明で連絡がとれず、
遺産分割の話し合いがができていない場合はどうなるのでしょうか。
実は、株式の相続には特別なルールがあって、
相続人間で遺産分割などの話し合いが行われていない間は、
株式は準共有の状態になります。
準共有とは何かというと、誰が何株もってるとかではなく、
相続人全員で株式を共有してるよねーという状態になります。
全員で共有している。と聞くと、
全員に対して通知などが必要なのかな?
と思ってしまいますが、そうではありません。
共有している株式に対する通知は共有者全員に必要?
共有者全員に通知が必要。となると、
手続きが煩雑になったり、場合によっては通知ができないので別の方法を考える必要も出てきます。
そこで会社法を調べてみると、株主への通知に関するルールがきちんと定められていました。
通知等に関しては、共有者1人に対してしたらOKですよという決まりになっています。
(会社法126条)
3 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者1人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前2項の規定を適用する。
4 前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの1人に対してすれば足りる。
要するに、
①株式を共有している場合、株主側で通知などを受領する人を1人決めて会社に対してお知らせする必要がある。
②もし株主側で①をしなかった場合、会社側が任意で選んだ共有者のうちの1人に通知をすればOK
ということです。
なので例えば、
株主が死亡して、相続人がAとBでした。
Bは行方不明で通知の出しようがありません。
その場合、会社法126条4項に基づいてAに株券廃止の通知を出せばOK。
ということになります。
これで株券廃止の手続きはめでたく完了となります。
登記手続き提出書類
因みに、株券を実際に発行していない場合、
登記申請の添付書類は「株券を発行していません」と記載した書類の提出のみでOKです。
その場合、株主名簿も一緒に添付しますが、
その名簿には相続人全員の氏名を記載して、
住所は把握している限りの記載をすればよさそうです。
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今回は実際にご相談いただいた会社の登記についてご紹介しました。
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