こんなときは「及ぼさない変更登記」をします
2022.01.25
あまり聞きなれない言葉ですが、
抵当権や根抵当権には「及ぼさない変更登記(縮減変更)」
とう変更登記があります。
最近、金融機関さんから「どんな登記をしたらいいですか?」
というお問合せをいただき、その答えがまさにこの
「及ぼさない変更(縮減変更)」だったのです。
どんな時にどんな登記をするのでしょうか?
及ぼさない変更(縮減変更)とは
実務ではあまり取り扱うことがないこの「及ぼさない変更(縮減変更)」とは一体どんなときに使うのでしょうか。
具体的な事例で見ていきます。
事例
ふくおか太郎が甲・乙・丙の土地(道路)を一人で所有しており、
そこにはABC銀行の根抵当権がついています。
この度、甲土地をみやざき次郎に売却することとなり、
あわせて丙道路の1/2をみやざき次郎に移転することとなりました。
すると、
甲土地の根抵当権は抹消します。
乙土地の根抵当権はそのままです。
では、丙道路はどうするのでしょうか?
そう、このときに使うのが「及ぼさない変更(縮減変更)」です。
ふくおか太郎がつけていた根抵当権をみやざき次郎の土地につけておくのは、
みやざき次郎にとって「何で?おかしくない?」ってかんじですよね。
なので、ふくおか太郎の持分のみに抵当権が及ぶように、
根抵当権を縮減しようということなのです。
こうすることで、ABC銀行の根抵当権は
ふくおか太郎の持分についてのみ有効な根抵当権となるのです。
登記申請方法
登記申請する場合の必要書類等はこんな感じです。
申請人
この場合、珍しいことに申請人が
権利者:みやざき次郎
義務者:ABC銀行
となります。
みやざき次郎的には、全く関与していない根抵当権の変更登記の申請人になるので
少し違和感があります。
なので委任状に印鑑をもらう等の作業のときにはきちんと説明が必要なところです。
逆に、ふくおか太郎がつけている根抵当権なのに、
ふくおか太郎は登記申請人になりません。
必要書類
登記原因証明情報は金融機関さん(事例でいうとABC銀行)
から「放棄証書」をいただくことが多いです。
司法書士事務所で登記原因証明情報の作成もできますので
不明な場合は依頼される事務所にお尋ねください。
登録免許税
不動産1個につき1000円です。
利害関係人がいる場合
利害関係人とは、、
①ABC銀行がXYZ銀行からお金をかりている
②①の担保としてふくおか太郎の土地につけている抵当権を供している
こんな場合、ABC銀行の根抵当権を縮減するときに
XYZ銀行は利害関係人になるのです。
因みに、このXYZ銀行が付けている権利を
「転抵当権」と言います。
なぜなら、この状況でABC銀行の根抵当権が縮減してしまうと
つられてXYZ銀行の転抵当権も縮減してしまうからです。
縮減する=損する
なので、XYZ銀行は利害関係人となります。
よって、今回の及ぼさない変更登記をする場合、
XYZ銀行の承諾書が必要になるのです。
まとめ
今回はあまり普段取り扱うことがない「及ぼさない変更(縮減変更)登記」についてでした。
少し専門的な内容で「??」となったかもしれませんが、
こういった方法もありますよーというご紹介で書かせていただきました。
「こんな風に登記したい!」というご相談をいただければ
司法書士はその結論を導き出すための登記方法をご提案させていただきます。
(もちろん、できない登記もありますが)
どうしよう、困ったなとお悩みの際は
是非、登記の専門家である司法書士にご相談ください。
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