医療法人がクリニックを移転する場合にしなければいけないこと
2022.07.21
法人にはいろんな種類があります。
株式会社、合同会社、特定非営利活動法人、医療法人、学校法人など、、
全ての法人で設立登記をすると、「本店」や「主たる事務所」といった項目で住所が登記されます。
登記されている以上、引っ越しをして住所が変わると移転登記をしなければいけません。
今回は医療法人の開設クリニックを移転した場合に必要な手続きについてご紹介します。
医療法人の登記事項
株式会社を設立すると「本店」という項目で、会社の住所が登記されます。
なので、会社の住所を移転した場合、この「本店」の住所移転登記をすることになります。
では、医療法人はどうか?というと、
医療法人の登記事項には2つの住所が登場します。
1つは「主たる事務所」として、株式会社でいうところの「本店」に該当する住所が登記されます。
この主たる事務所は、本店に該当する住所なので、1法人で1か所しか指定することができません。
そしてもう1つは「目的等」の欄に「開設クリニックの住所」が登記されます。
1法人で複数のクリニックを開設することができるので、
この目的等の欄には、開設しているクリニックの数だけ住所が登記されます。
例えば、1法人で2か所のクリニックを開設している場合、こんな感じで登記されます。
主たる事務所:福岡市中央区赤坂○○
目的等:福岡市中央区赤坂○○
:福岡市博多区▲▲
ではこの医療法人が、
福岡市中央区赤坂○○から福岡市中央区天神○○に
事務所もクリニックも移転した場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?
医療法人の住所移転
医療法人には2つの住所が登場します。
「主たる事務所」と「開設クリニック」ですね。
なので両方移転した場合にはそれぞれ登記が必要です。
「主たる事務所移転」の登記と「目的等の変更登記」です。
主たる事務所移転登記
これは、株式会社の本店移転等と同じような手続きをします。
社員総会や理事会で新しい住所を決定して、
主たる事務所移転登記をするのです。
そして、登記完了後には管轄の保健所に登記完了届を提出します。
開設クリニックの移転登記
この開設クリニックは「目的等」の欄に登記されます。
なので、住所を移転しているのですが、目的等の変更登記をすることになります。
そしてこの目的等の変更登記は定款変更になるので、
定款変更の認可申請をして認可がおりてから、変更登記手続きという流れになります。
さらに変更登記手続き後に保健所に登記完了届の提出が必要です。
移転日付に注意
先に書いたように、「主たる事務所移転」と「開設クリニック移転」は
同じ住所移転なのに「住所」と「目的」の変更がそれぞれ必要です。
さらに、同じ日に住所を移転したのに効力発生日が異なるので注意が必要です。
主たる事務所移転の効力発生日
主たる事務所は、株式会社の本店のようなものなので、
理事会で決定した日付けと実際に移転した日付けの遅い日が移転日になります。
例えば、
理事会で「令和4年7月1日に移転する」と決定した。
しかし実際には「令和4年7月20日」に移転した。
この場合は「令和4年7月20日」が主たる事務所移転の効力発生日になります。
開設クリニック移転の効力発生日
開設クリニックを移転する場合、目的等の変更登記をします。
この目的変更は定款変更になるので、定款変更の認可必要です。
この認可をもらうためには、開設クリニックを移転する「前」に認可申請をして、認可をもらう必要があります。
そして効力発生日は「認可証を受け取った日」になります。
こんな流れです。
認可申請をする
↓
認可がおりる
↓
認可証を受け取る※この日付けが目的等の変更日になります
↓
法務局に変更登記申請をする
↓
保健所に目的等変更の登記完了届を提出する
↓
実際にクリニックを移転する※この日付けが主たる事務所移転の変更日になります
↓
保健所に主たる事務所移転の登記完了届を提出する
認可の到達日と実際の事務所移転日が離れている場合、
主たる事務所移転登記と目的等変更登記を、同じタイミングでえいっと登記申請はできないので注意が必要です。
法人登記のことは是非ふくおか司法書士法人までお問合せください。
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