【合同会社】株式会社との違いや社員が退社するときの手続き
2022.03.03
合同会社と株式会社との違い
先日、合同会社の社員の退社に関する登記手続きのご依頼をいただきました。
株式会社と比べるとちょっとマイナーなイメージがある合同会社ですが、
設立時の費用が株式会社に比べると格段にお安いというメリットもあり、
合同会社の設立登記も沢山ご依頼いただいています。
そんな合同会社。
設立したのはいいけど、
社員が退社したいときはどうしたらいいの?
ということを、株式会社との違いを交えながら説明していきます。
合同会社と株式会社の違いは?
合同会社とは、持分会社に分類される会社です。
こんな感じです。
持分会社とは、合名会社、合資会社、合同会社の総称で、
その名の通り、社員が持分を持っている会社のことです。
ん??ですよね。
この持分会社の説明の前に、
まず、株式会社の説明から。
株式会社って何だろう?
日本の会社ではイメージしづらいのですが、
一般的に株式会社とは
経営者(取締役等いわゆる社長)と、会社の持ち主(株主)が分離している会社のことを指します。
「所有と経営の分離」とか言われてます。
しかし、日本の中小企業では、
経営者(取締役等いわゆる社長)=会社の持ち主(株主)
の構造になっていることが多いです。
社長自らが出資して株主になっているというパターンです。
持分会社って何だろう?
この株式会社に対して、持分会社は
経営者(代表社員等等いわゆる社長)=会社の持ち主(出資者)
の会社のことを指します。
出資している人のみが経営者になるという構造です。
これにより、株式会社と比べて
より自由に自分たちの責任で会社を経営していけるのです。
合同会社の社員が持分譲渡して退社する場合の手続き
合同会社で、退社する予定の社員と話がついていて、
いわゆる円満退社をする場合、
「持分を他の社員に全部譲渡して退社する」
という方法が実務ではよく取られます。
合同会社は
「経営者(代表社員等等いわゆる社長)=会社の持ち主(出資者)」
なので、持分を全部譲渡すると社員として在籍できなくなります。
そのため、この持分を全部譲渡したということを理由として退社することができるのです。
そして他の社員に持分を譲渡した場合、
譲渡を受けた社員の出資額が増えるだけなので
会社全体の出資金は変わらないので、資本金の変更登記は不要です。
因みに、株式会社は経営者と株主はイコールではないので、
一般的に、株式を譲渡してもそれを理由に退社することはなく、
取締役のまま在籍することになります。
持分譲渡で必要な手続き
持分譲渡をする場合、以下2点について同意が必要です。
①持分譲渡に対する同意
②①の結果、定款変更をすることに対する同意
登記手続きで必要書類
①持分譲渡:総社員の同意書又は持分譲渡契約書
②定款変更:総社員の同意書
基本的に、持分譲渡や定款変更する場合、
総社員の同意が必要です。
同意がもらえない場合、どうするのでしょうか?
社員が退社したい場合はどうするの?
合同会社は株式会社と違い、
会社と社員は雇用関係ではありません。
なので、「辞めます」と言って
いつでもすぐ辞められるわけではありません。
さらに、株式会社のように任期の定めは法定されていないので、
定款で積極的に任期を決めていない限り
「任期満了」での退社ということもありません。
では、合同会社の社員になったら、
社員の同意がなければ退社することはできないのでしょうか?
予告退社
合同会社の社員が退社したい場合は、
6か月前までに退社予告をすることで、
事業年度の終了時に退社することができます。
他に、やむを得ない事由がある場合にも退社することができます。
いずれにしても株式会社よりも
退社のハードルが高いように感じます。
合同会社が増えてきたとはいえ、
まだまだ株式会社と比べると知られていないことや
手続きで戸惑うことも多いかと思います。
合同会社でお困りの際は
ふくおか司法書士法人までご相談ください。
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