コラムColumn

退職慰労金を不動産で支給した場合の登記手続きについて

2022.09.20

不動産の所有権移転登記をするためには登記「原因」が必要です。
登記原因とはその名のとおり、その登記をするに至った原因(理由)です。
例えば、
売買、相続、贈与、合併、時効取得、代物弁済、、
など沢山の登記原因があります。
そしてこの登記原因によって登録免許税の税率も異なります。

今日はそんな登記原因の中で結構レアな原因「退職慰労金の給付」についてです。

退職慰労金を不動産で支給することは可能?

まず、退職慰労金とは、
会社の取締役や監査役などの役員が退任するときに支払われる慰労金のことです。
就業規則に定められている退職金規定に基づき支払われる一般的な退職金とは別物です。
この退職慰労金の決定については会社法361条にこんなふうに定められています。

(会社法361条)

取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益について
以下に掲げる事項を定款に定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
・報酬額やその具体的な算定方法
・金銭でないものはその具体的な内容

退職慰労金の決定に関してもこの会社法361条が適用されるため、
定款に退職慰労金について具体的な定めがない場合は、
株主総会の決議によって具体的な給付内容を決定していきます。

そして退職慰労金の給付をするためにはもう1つ重要なアクションがあります。
それは、退職慰労金をもらう人の受諾の意思表示です。

会社側の「あげようね」という意思と
退職者の「もらおうね」という意思表示が一致しないと成立しない手続きなのです。

なので、退職慰労金の給付により不動産の所有権移転登記をする場合はこんな流れになります。
①株主総会で支給決定

②受諾の意思表示

③所有権移転登記
※①と②はどちらが先でもかまいませんが、一般的には「あげようね」からの「もらおうね」になるかと思います。

では、所有権移転登記は具体的にどんな内容になるのでしょうか。

退職慰労金を不動産で支給した場合の登記原因

定款に具体的な給付内容がかかれておらず、
株主総会の決議によって退職慰労金の給付決定をした場合、
その登記原因は「退職慰労金の給付」です。(登記研究第790号質疑応答)

定款に具体的な金額が書かれていた場合の登記原因

退職慰労金の金額が明確に定められている場合の登記原因は「代物弁済」になると考えられます。
代物弁済とは、本来の給付に代えて別のものを給付することで債務を消滅させるという契約です。

例えば今回の退職慰労金の給付に当てはめると、
退職慰労金が1000万円と定められている場合、
本来であれば1000万円を給付しなければいけません。
が、かわりに不動産を支給するのであれば
「この1000万円の給付に変えて不動産を給付する」という登記原因になるので、
これは代物弁済という契約になり登記原因も「代物弁済」になります。

退職慰労金の給付による所有権移転登記手続き

登記申請の当事者や必要書類などは一般的な売買による登記と同じです。

登記申請人は
権利者:退職慰労金を受け取る元役員
義務者:給付する会社

ご準備いただく書類は
・給付する不動産の権利証(登記識別情報)
・給付する会社の印鑑証明書(添付省略できるので原本は戻ってきます)
・退職慰労金を受け取る人の住民票

登録免許税は
不動産の評価額×20/1000
これは減税特例が使えないので売買よりも高くなる可能性があります。

不動産の所有権移転はその原因を正しく登記しなければいけません。
正しく登記していない場合、その後の税申告などに影響することもあります。

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