コラムColumn

住宅を失いたくない場合の債務整理手続について

2022.10.19

住宅ローンを組んで夢のマイホームを購入した。
当時はそれほど無理がある返済計画を立てたつもりはなかったが、
病気や家族の事情など予期していなかった出来事が次々と訪れて気付けば多額の借金地獄。

やばい、何とかしなければ。
インターネットで検索してみる。
「借金 返済できない」
そうか、債務整理をしたらいいのか。
家はどうなるんだろう。まだローンが残っている。
ローンが残っているということは、返済できなくなったら家を追い出されてしまうんだろうか。
子供もまだ小さいし、住んでいる家だけは何とか残したい。
債務整理手続きはしたいけど自宅にはそのまま住み続けるなんて都合のいい手続きはあるんだろうか。。

債務整理手続きをしながら、住宅ローンが残っている自宅に住み続けることができる可能性はあります。
債務整理手続きの種類とあわせてご紹介します。

債務整理には3つの手続きがある

債務整理には3つの手続きがあります。
①任意整理
②個人再生
③自己破産

結論から書くと、①と②は住宅ローンを払い続けて自宅を残せる可能性があります。
③は残念ながら自宅を残すことは難しいです。
自己破産は財産を引き上げてそれでも借金の返済ができない場合は
残りの借金をチャラにしましょうね。という手続きなので
財産である「住宅」は、引き上げられて(売却されて)借金の返済にあてることになります。
なので、自己破産をする場合には、自宅を残すことは難しいです。

では、①任意整理と②個人再生はどのようにして自宅を残すのか1つずつみていきます。

任意整理と住宅ローン

任意整理手続きとは、裁判所を通さず業者に任意で応じてもらう債務整理手続きです。
例えば、毎月3万円返済している業者に対して、
将来利息をカットして残りを3年の分割支払いにしてもらえませんか!?
などと交渉していきます。
任意整理手続きは債務整理をする業者を選択することができます。
例えば、
・ア〇ム
・ア〇フル
・住宅ローン
の3社に借金をしている場合、ア〇ムとア〇フルだけ債務整理手続きをして、
住宅ローンはそのまま支払い続ける。
といったことも可能です。

住宅ローンは債務整理手続きせずにそのまま支払い続けるので、
もちろんこれまで通り住宅ローンを支払って自宅に住み続けることができます。

個人再生と住宅ローン

個人再生手続きは、裁判所を通してすべての業者を対象とする手続きです。
なので、普通に個人再生手続きをすると住宅ローンも対象となるため、
自宅に住み続けることはできません。

しかし、個人再生手続きには、
「住宅資金特別条項」通称「住宅ローン特則」という制度があり、
この住宅ローン特則を利用することで
住宅ローンはそのままにしておいて、
他の業者だけを対象として個人再生手続きができるのです。

住宅ローン特則とは

住宅ローン特則とは、住宅ローン以外の借金を整理する方法です。
個人再生手続き後も住宅ローンは変わらず支払い続けることになります。

一見「おお!それいいじゃん!」と飛びつきそうになりますが、
ローン残や住宅の評価額によっては、個人再生後の返済がかなり厳しい結果となるためお勧めできない場合もあります。
事例でご紹介します。

因みに、住宅ローン特則の要件は
①住宅の購入やリフォームのために借りた資金であること
②不動産に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
③本人が居住するために所有している住宅であること
④住宅ローンを滞納していないこと(代位弁済されていないこと)
※ここでは簡単に列挙しています。詳しくはお問合せください。

オーバーローンの場合

オーバーローンとは「ローン残>住宅の評価額」で住宅ローン残が評価額を上回っている状態のことです。
例えばこんな場合
住宅ローン残:1500万円
住宅評価額:1000万円
借金額:500万円

まず、色んな例外を無視して個人再生手続きを簡単に説明すると、
500万円の借金が100万円になります。(最低弁済額と言います)
この100万円を3年で分割返済するので、
月々2.8万円の返済に圧縮されます。

そして住宅ローン特則を利用すると住宅ローン残1500万円で、
月々の返済5万円はそのままです。
こんな感じです。

住宅ローン残:1500万円 月々5万円⇒そのまま
借金額:500万円 月々10万円⇒100万円 月々2.8万円

借金総額も月々の支払も圧縮されていることが分かります。

アンダーローンの場合

次にアンダーローンとは「ローン残<住宅の評価額」で住宅ローン残が評価額を下回っている状態のことです。
例えばこんな場合
住宅ローン残:500万円
住宅評価額:1000万円
借金額:500万円

先程の例で考えると、
住宅ローン残:500万円 月々5万円⇒そのまま
借金額:500万円⇒100万円 月々2.8万円
「おお!これもいいじゃん!」ってなりそうですが、
アンダーローンの場合はそうはいきません。

アンダーローンの場合の注意点

まず、先程「色んな例外を無視して個人再生手続きを簡単に説明すると、500万円の借金が100万円になります」
と説明しましたが、アンダーローンの場合はこの例外にあたり、
借金の額が単純に100万円に圧縮されない可能性が出てきます。
なぜなら、清算価値保証原則というルールがあるからです。

清算価値保証原則

個人再生手続きには「清算価値保証原則」といって、
引き続き財産を持ち続けるんだから、その財産の価値分は支払ってくださいね。
というルールがあります。(すごくかみ砕いた説明です)

今回の場合、
評価額1000万円-ローン残500万円=500万円の差額が財産と判断されます。
そのため、
「500万円の財産を持ち続けるんですよね?だったら、最低弁済額の100万円じゃなくて多い方の500万円払ってくださいね。」
となります。

債務整理手続きの反対側には債権者がいます。
もちろん、問題のある貸し方をしている債権者もいますが、
借りたお金を返さないというのは事実です。
借りたお金は返さないし、多くの財産を手元に置いておけるというのは、
債権者側からしてみたらちょっと納得いかないですよね。

なので、この清算価値保証原則によってその債務者と債権者の均衡を図っている
といったイメージです。

アンダーローンの場合 続き

さて、話は戻ります。
先程の事例の場合、債務整理手続き後の支払いはこうなります。
住宅ローン残:500万円 月々5万円⇒そのまま
財産:500万円 月々13.8万円

住宅ローンはオーバーローンの場合と同様、そのまま支払い続けます。
しかし、その他の返済額は最低弁済額の100万円ではなく、
財産である500万円になるので、500万円を3年で分割して、月々13.8万円となります。

お気づきでしょうか。
個人再生前よりも月々の返済額が増えてしまいました。
これは結構極端な例ですが、増えるまではいかないにしても、
月々の返済額が結局変わらない・・といったことになる可能性も十分にあります。
なので、場合によっては住宅ローン特則はおすすめできないのです。

ではこの住宅ローン特則に大きく影響する「住宅の評価額」は誰が決めるのでしょうか。

住宅の評価額とは?

ここからは、裁判官や再生委員の見解にもよりますが、
住宅の評価額は、固定資産税の評価額の〇倍くらいとされることもあれば、
不動産屋さんなどで査定を出してくださいねと言われる場合もあります。

しかし間違いなく言えることは、
福岡市の住宅は軒並み上昇傾向にあり、
一昔前と比べると、評価額がすごく高くなってしまうことが増えてきています。
評価額が高くなるということは、アンダーローンのリスクも高まるということです。

先程説明した通り、
アンダーローンで評価額とローン残の差額が出れば出るほど
返済額は増えてしまい、個人再生のメリットがなくなってしまうという結果になります。

借金問題は周りの人に相談することができず、
1人で抱え込んだりインターネットで検索してしまって、
不安や悩みが深刻化したしまった、という声を耳にします。

ふくおか司法書士法人は債務整理手続きに特化した司法書士と専門スタッフがいます。
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また、より高い専門性を生み出すために弁護士、税理士、社会保険労務士等の他士業の先生方とも協力し合いながらワンストップで業務にあたっています。
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