コラムColumn

裁判所はここを見る!自己破産・個人再生における「財産」とチェック項目トップ10

手元にあるものだけが財産ではない!法的整理における「財産」とは

自己破産は、持ってる資産を全部現金化(換価)して債権者に平等に返済し、それでも返済しきれなかった部分の借金を帳消し(免責)してもらう手続きです。生活に必要な家財道具や一般的な家電、価値が著しく低い自動車などは手元に残すことができます。また現金についても一定額までは残せます(財産の換価基準は各地域の裁判所によって異なります)。

個人再生の場合には、法律で定められた最低弁済額か、持っている財産を換価した場合の価値(清算価値)のどちらか高い方の金額を最低でも返済しなければなりません。つまり、財産を持っている場合、自己破産のように手放す必要はない分、返済額が大きくなります。

このように自己破産や個人再生では「財産」の価値の算出が非常に重要になります。債権者の利益を守るためです。

「財産」というと現金や預金、土地や家屋、車、貴金属などをまず思い浮かべる方が多いと思いますが、目に見えるものだけが財産ではありません。

例えば、人に貸しているお金も財産です。貸している分は今手元にありませんが、貸している=返してもらうお金がある=財産を持っている となります。まだ返してもらってなくて手元にないけど財産なのです。

同様に、まだもらっていない将来の退職金(の一部)も財産となります。将来もらう予定のお金がある=財産をもっている ということです。自己破産の場合は算出額を積立てたり親族からの援助などにより債権者への返済に回されます。個人再生の場合には、財産を持っているとみなしてその分清算価値が高くなります。念のために申し添えますが、実際に退職してしまう必要はありません。

解約したらもらえるであろう保険の解約返戻金も財産です。解約すればもらえるお金がある=財産をもっている ということになります。自己破産の場合は実際に保険を解約してもらい解約返戻金は債権者に分配するのが原則です。個人再生の場合は解約しなくてもいいですが、財産をもっているとみなしてその分清算価値が高くなります。

また、見えにくい財産としては、相続未了の財産についても見過ごせません

破産・再生を受任する時によくある引っ掛かりポイント
独断と偏見によるベスト10

このように相談者の財産や債務の状況によっては、手続きをすすめるにあたってネックになり希望する手続きが選択できない場合もあります。特によくあるポイントをご紹介します。(※順位はこれまで数多くのご依頼をうけてきた経験による独自のものです)

第10位 貸付金

申立人が誰かにお金を貸していると財産として認定される。
昔に貸して既に時効になってる貸付などならまだしも、現在も通帳を通じて返済を受けているといった場合は言い逃れの仕様がない。
破産する場合は管財人が借主に対して回収にかかることになる。

第9位 保険解約返戻金

まとまった解約返戻金がある場合は財産として認定される。
破産する場合は原則解約して返戻金は手元に残らない。高齢などの理由で保険を解約したくない場合は返戻額などによって自由財産拡張が認めれる場合がある。
再生の場合は返戻金額が精算価値に上乗せ計算される。

第8位 自宅の家賃滞納

破産申立時(開始決定時)に家賃の滞納があると債務として認定されて免責の対象となる。
免責されると大家さんとしては迷惑なので退去云々の話になることが予想される。

第7位 保証債務

申立人が誰かの保証人になっている場合、保証債務として認定されて免責の対象となる。
再生の場合、主債務者が約定通りの返済を継続している間は返済しなくてもいい場合もあるが、中には認可決定後は保証債務の一部を返済する必要があり予想外に負担が重くなるケースもある。また債権者を通じて主債務者に何かしらの連絡が入る可能性がある。

第6位 個人事業主の売掛金・買掛金

破産申立時(開始決定時)に売掛金がある場合は財産として認定されて原則管財人が回収に関与する。(しかし、平穏に進めるため自由財産拡張により管財人が関与しない場合もある)
破産申立時(開始決定時)に買掛金がある場合は債務として認定されて免責の対象になる。
いずれの場合も各取引先に大きな影響を与える可能性があり、事実上廃業せざるを得ない場合がある。
ただし、逆に言うと開始決定時に売掛金も買掛金もない状態にできれば影響は限定的にできる。

第5位 退職金

申立人が受け取れる退職金があれば退職金の一部が財産として認定される。
退職金の金額は申立人が調べる必要があり、場合によっては勤務先に退職金の金額を確認する必要がある。
ただし勤務先が退職金の代わりに、確定拠出(給付)年金や中退共を利用している場合は財産として認定されない。

第4位 勤務先からの借入

勤務先からの借入がある場合は債務として認定され免責の対象になる。
給与天引きで返済していることが多く、言い逃れはほとんど無理。法的整理は債権者を平等に取り扱わねばならず、会社への返済だけは続けるということはできない。大手企業勤務であれば音沙汰はないこともあるが、中小企業だとかなり追い詰められる可能性がある。

第3位 個人からの借入

個人的にお金を借りている場合も貸金と同様に債務として認定され免責の対象になる。
免責されると顔が潰れるといって、個人だけにはこっそり返済するなんてことをすると偏波弁済(へんぱべんさい:Aさんには返済を継続してBさんには返済しない、など債権者を不平等に扱うこと)として申立後に裁判所から追及されることがある。偏波弁済は免責不許可事由の対象なので注意。

第2位 保証人

申立人が負っている債務について誰かに保証人になってもらっている場合、債務整理を開始後すぐ保証人に一括請求される。
保証人はそもそもそういう役割の人なので請求されるのは仕方ない。
奨学金(日本学生支援機構)の借入に多い。

第1位 自動車ローン

自動車ローンの返済中に債務整理を開始する場合は、対象の自動車をローン債権者へ引き渡す必要がある。
ローン債権者は引き取った自動車を売却して得た資金をローン債務に充当するので債務額は多少減額される。
ただしローン契約に「所有権留保条項」がない場合は引き渡す必要はない。銀行などの金融機関はこの所有権留保条項がないことが多く、引渡しなくていい場合も多い。


自己破産でも自由財産の拡張により財産を残せる場合もあります。自己破産だと思っていたけど個人再生で解決できた、逆に、個人再生をしようと思っていたが、思いのほか清算価値が大きくなり自己破産に切り替えた。または、清算価値が大きくなっても一部の財産を換価して個人再生で解決できた。などケースは様々です。どの手続きがいいのか、自分で判断するのは難しいことがほとんどです。ぜひ専門家にご相談ください。

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