コラムColumn

借金の時効と信用情報について

2019.05.19

 「借金の時効」超簡単説明

「法律を知る」と日常の様々なところで役に立つことが実はあるのですが、

詳しく知っていなくても、まあやっていけるのが人生です。

ただ、道路交通法など、車を運転する人は絶対に知っておかないとならない法律もあります。

 

その中で、借金をする人、またはしたことがある人には、絶対知っておいて頂きたい法律があります。

 

 商法第522条 商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、五年間行使しないときは、時効によって消滅する。ただし、他の他の法令に五年間より短い時効期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

民法166条1項 消滅時効は権利を行使することができる時から進行する。

具体的に解説をすると、借金は最後に支払うべきだった日の翌日から5年間、返済をしていなかった場合には借金は払わなくて良くなります。

たとえば、毎月末日払いだったとして、2014年の4月末日は返済したけど、5月末日からは返済していない、という場合には、5月末日の翌日から消滅時効が進行するので、それから5年の2019年5月末日が経過すると時効、となります。

しかし、この定めは「商法」ですので、個人間の貸し借りは当てはまりません。その場合には、

民法167条「債権は 10年、それ以外の財産権は20年の時効期間が経過すると消滅する」が当てはまり時効は10年となります。また、奨学金などの非営利目的の債権者からの借入も10年です。

 時効期間が過ぎただけでは借金はなくならない!?

上記に挙げた条文だけを読むと、時効期間が経過すれば自動的に借金が消滅するような気がします。

しかし、時効は「意思表示」をしなければ成立しません。

それを法律では「援用」と言って、一口頭でも構いませんが、争いになったときに「聞いていません」と言われたら困るので、一般的には「内容証明郵便」を使います。

また、既に裁判されているような場合には、訴状に対する認否を記載する答弁書に「時効を援用します」と記載すればOKです。

 時効は中断することもある!?

時効のご相談をお受けする時、必ず確認するのが

「裁判はされていませんか?」ということです。

最終返済日から5年以上経過していも、その間に裁判をされていた場合には、時効が中断し、確定してから10年間、と時効成立まで期間がとても長くなります。

特に注意したいのが、支払督促で、支払督促はペラっとしたハガキですし、訴状のように仰々しさがなく、

「放置しちゃった~」という人が多いです。

しかし、支払督促でも時効中断の効力は訴訟と変わりませんので、これまた10年にググっと時効が長引くことになります。

 

また、時効期間が経過していても、一部でもその返済をした場合には、借金を認めたことになり、時効は中断します。

そのため、貸金業者は

「1000円でいいから支払って」「少しでも払ってくれたら帰るから」

と時効を中断させるために、少額の返済を求めることがよくあります。

ご相談者の中にも、

「慌てて昨日手持ちのお金だけ払ってきました。」

という方がいて、その方に時効の説明をするのはとても心苦しかったです。

 

ちなみに、その場でお金を払わなくても、「来月払います」とか「分割にしてくれたら払います」というように借金を認める発言をしてしまっても時効は中断することになります。

ただ、証拠として残っていなければ、その後正式に時効援用の通知を送れば大丈夫な場合が多いです。

 時効期間が経過していても裁判されることがある!?

裁判にはお金が掛かります。訴状を作る、という手間も掛かります。

それでは、既に時効期間が経過していて、答弁書で「時効を援用します」と主張されたら終わりとなってしまうだけの裁判をその道のプロである貸金業がわざわざ裁判までしてくるでしょうか?

答えは「YES」です。

先述しましたが、時効は援用しなければ成立しません。

条文では下記のように定めがあります。

 

民法145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判することができない。

 

つまり、訴えられた方が、「時効を援用します」と主張しなければ、払う義務は消えないのです。

裁判を起こすと、慌てて払ってしまう人や放置してしまう人もいます。

裁判では「何もしない」ことは相手の言い分を「認める」ことになるので、時効期間が経過していても相手の出方次第では全部認められました、という結果になることもあるのです。なので、放置は本当に危険です。

つまり、明らかに時効となっていても裁判で相手が援用してこないこともあるので、貸金業者はお金と手間が掛かっても裁判という手段を選ぶことがあるのです。

 

 時効と信用情報

最後に、時効と信用情報です。

時効援用を依頼されるきっかけで多いのは

「住宅ローンを組もうとしたらずっと昔に借りた借金の情報が残っていてローンが組めなかった」

というものです。

仲介をされている不動産会社の方から、「どうにかなりませんか?」と相談されることもあります。

「どうにかなる」こともあり、実際にご依頼後に問題なくローンを組むことが出来たお客様も多くいらっしゃいます。

このように書くと、私共が信用情報を消したのか!?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

信用情報とは、信用情報機関が加盟企業からの情報を掲載しているものです。

なので、私共からお客様の信用情報を変更することは出来ません。あくまで加盟企業が申告をする必要があります。

では、時効を援用すれば加盟企業は必ず信用情報を消してくれるのか!?というと、これはケースバイケースなのです。

気になる方は時効援用の前後にご自身の信用情報を取り寄せてどのように記載が変わったか確認してみてください。

信用情報はご自身で請求できます。「CIC 開示」「JICC 開示」などで検索するとすぐに案内ページが見つかりますのでご参考になさってください。

 

※消滅時効援用については、令和2年4月に新民法が施行されていますが、施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であっても、その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。)その債権の消滅時効の援用については、旧法が適用されます(附則10条1項)。

 

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