コラムColumn

遺産の範囲と額はいつを基準とするか?:知っておきたい相続シリーズ

 そもそも「遺産分割」とは?

遺産分割とは、人が亡くなったときに遺された財産について、相続人同士で話し合って遺産の分け方を決める手続きのことです。その話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

「遺産分割協議」によって、遺産分割の内容が決まったら、必ずその内容を書面に残しておきましょう。

どんなに親しい間柄であろうと、後になって、「そんなこと言っていない」「話し合った結果と違う」なんてことになる可能性もないとは言い切れません。

その話し合いで決まった配分方法や内容を記した書面を「遺産分割協議書」といいます。

遺産分割に期限はありません。

長い間そのままにしておいたけど、そろそろ重い腰を上げて話し合おうか、と相続人が亡くなって何年も経ってから遺産分割協議をする、というのはよくあることです。

ただし、相続税の申告をする必要がある場合には、申告期限は相続開始後10ヶ月以内なので、その間に遺産分割協議を行う必要があります。

 

では、遺産分割の対象となる財産の範囲と価格はいつの時点を基準として確定されるでしょうか?

これには法律上の決まりがないため、2つの説が存在します。

①相続開始時説:相続開始のときに存在した遺産

②遺産分割時説:遺産分割時に現存する遺産のみ

 

 遺産範囲の確定は、遺産分割開始時が通説

相続開始時に存在した財産が、遺産分割時に必ずしも存在するとは限りません。

たとえば、家屋が火災や地震により滅失する可能性もあります。高価な貴金属が盗まれることだってあるかもしれません。

この場合、相続開始時に存在していた財産を対象として遺産分割をするべきなのか(相続開始時説)

それとも、遺産分割時に現存する財産のみを遺産分割の対象とするべきなのか(遺産分割時説)が問題となります。

この点、実務では、遺産分割時説が採用されています。

確かに、相続時には存在していても現存しないものについて、その権利を協議することは無意味な気がしますね。

しかし、例えば、既に滅失した家屋もしばらくの間は賃料が発生していた、とか、高価な金棒は盗まれたのではなく、本当は相続人の1人が売っていた、など形を変えて価値が現存している場合もありますね。

その場合には、一見相続開始時説のほうが都合がいいように感じますが、賃料は「果実」(※注1)売った代金は「代償財産」(注2)といって、他の解決方法があるので、やっぱり、遺産分割時説で問題なし!となっています。

ただし、遺産分割協議にいて相続人間で相続開始時説をとるとする合意をすることは可能です。

 遺産額の確定も、遺産分割協議時説が通説

そして、遺産分割対象財産の価額をどの時点で評価すべきかということも相続説と遺産分割時説との2つの考えがありますが、

実務上も裁判例も遺産分割時説を採用するのが通例となっています。

例えば、相続時は田や畑で価値の低かった土地が、区画整理事業などで値上がりした、という場合に、相続時の価値で相続人が平等に話し合う、というのは無理がありますよね。

ただし、遺産分割協議において相続人間で相続開始時説をとるとする合意をすことは可能です。

結局、相続人の皆さまがいいのならば、それでどうぞ、ということですね。

とは言え、相続人間の話し合いで、財産の範囲の基準時と評価の範囲の基準時を別々に定めてしまうと不自然で、紛争をかえって大きくしてしまうおそれがありますので、財産の範囲と評価の基準時は、同時期とするのことをお勧めします。

(注1 果実)法律用語で果実、とは上記の例のような賃料に代表される、物から生じる利益や収益のことをいいます。木からなる果物のように言葉通りの果実を指すこともあります。相続開始後遺産分割までの果実は、遺産とは別個の財産であり共同相続人が相続分に応じて個別に取得する、とする最高裁の判決があります。

(注2 代償財産)相続財産が別の財産的価値に変わっていることを代償財産といいますが、果実と同じく、遺産分割の対象とならず、共同相続人が相続分に応じて個別に取得する、とする最高裁の判決があります。

しかし、いずれの場合も、共同相続人全員の合意により遺産分割の対象に含めることは可能です。

 

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