不動産登記の落とし穴「所有権移転」登記ができない!?
2023.01.11
先日何気ない質問をされて受験生時代のニッチな知識を思い出したので
こんなこともあるかもねーってかんじで不動産豆知識をご紹介します。
「所有権移転」登記ができないとは!?
ちょっと釣りタイトルみたいになってしまって申し訳なかったのですが、
別に所有権移転登記そのものができないってわけではありません。
所有権移転登記と一言で言っても、その登記の目的は様々です。
例えば
・所有権移転
・共有者全員持分全部移転
・A持分全部移転
・所有権一部移転
など沢山あります。
これは何が違うのかというと、
①元の所有者が1人かそれ以上か
②どのくらいの持分を移転するのか(全部とか、2分の1とか)
おおよそこの2点の違いです。
では「所有権移転」とは何なのか?というとこんな感じです。
①元の所有者が1人かそれ以上か:1人
②どのくらいの持分を移転するのか:全部
元の所有者が1人で、その人が所有権の全部を第三者に移転する場合は、
「所有権移転」を登記目的として登記申請します。
しかしこのパターンでも「所有権移転」を登記目的として登記申請ができない場合があるんです。
なので、「所有権移転」登記ができない!?
という大袈裟なタイトルをつけさせてもらいました。。
ではどんな場合に「所有権移転」登記ができないのでしょうか。
第三者の権利が存在する場合は注意
注意といっても実務でこの登記を目にすることは殆どありません。
例えばこんな登記がありました。
(甲区:所有権に関する登記)
①令和1年10月1日 所有権移転 所有者 B
②令和4年11月1日 所有権一部移転 持分2分の1 A
④令和4年12月1日 B持分全部移転 持分2分の1 A
(乙区:所有権以外に関する登記)
③令和4年11月5日 A持分抵当権設定 抵当権者 X
文字でみるとちょっと分かりずらいのですが、
重要なところだけ時系列で並べると
②Aが2分の1だけ所有権を取得した
③その2分の1に対してだけXが抵当権を設定した
④Aは残りの2分の1も所有権を取得したけどそこにXの抵当権はついていない
図だとこんな感じです。
この状態で「所有権移転」をしてしまうと、
全部抵当権がついてる所有権とついてない所有権が一緒くたになって
何が何だか分からなくなってしまうんですよね。
なので、この場合はきちんと②で取得した所有権と④で取得した所有権を分けて移転する必要があるんです。
登記例
1件目:所有権一部(順位2番で登記した持分移転)
2件目:A持分全部移転
こうすることで、同じCが所有している土地でも
1件目で移転した持分には抵当権がついてるな
2件目で移転した持分には抵当権がついてないな
と考えることができるのです。
因みに冒頭で実務であまり目にしないと紹介しましたが、なぜかというと、
普通だったらXはAが残りの2分の1を取得した時点でそこに抵当権を広げる登記をするからです。
なので、同一人物が所有権を全部持ってるのにその一部に抵当権がついてるということはちょっと考えられにくいんです。
さらに因みに、相続登記においてはこの理屈は通じません。
持分に抵当権がついてたって関係なく「所有権移転」登記をします。
相続登記はその性質上、一部のみを登記の対象とすることができないからです。
不動産登記はふくおか司法書士法人へ
今日は実務ではあまり目にすることがない不動産登記の注意点についてご紹介しました。
あまり目にすることはないとは言っても、これを実務で見落としてしまうと大事です。
ふくおか司法書士法人では常に複数名の司法書士と専門スタッフで登記申請についての検討をすることで、
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