コラムColumn

その登記、本当に移記ミスですか?

2024.02.08

少し前から続いていた奇妙な登記。
「あら?おかしいな。移記ミスかな?」と思って進めてみると、
その結論は司法書士にとっては背筋が凍るものでした。

これは、、是非共有したい!
ということで、今回は趣向を変えて、同業者や不動産業者さん方向けのコラムにしてみました。

移記されている登記

登記情報を取得したところ、こんな感じになっていたとします。

、、、明らかにおかしいんですよね。
何がおかしいかって【受付番号が同じ=一括申請】なので、
通常であれば所有者の住所が違うなんてことはあり得ません。
なのにこの2つの登記情報は、受付番号が同じなのに所有者福岡太郎の住所が微妙に違うんですよね。
そしてもう1つ注目したいのが、その下にそっと「昭和63年法務省令~の規定により移記」と書かれています。
これを見たときに頭をよぎるのが「これってもしかしてアレしとらんか?」です。
そう、アレです。「移記ミス」です。

移記とは

念のため移記とは、を簡単に説明すると、
元々紙媒体で作成されていた登記簿を「量がすごいことになってきたし、データ化しようじゃないか」
ということで、紙⇒データに移す作業をしていて、そのことを移記と言います。

移記ミスとは

じゃあ移記ミスって何かというと、
言葉のとおりで、移記するときにミスっちゃって誤った情報がデータ化されてるということです。
たとえば、今回の事例だと
福岡太郎の住所は「福岡市西区○○12345番地」なのに、
建物の登記簿を移記するときにミスって「福岡市西区○○12355番地」になってしまった。
という具合です。
何となくこーゆー作業って「間違ってるわけない」という
何の根拠もない絶対神話的な思考が抜けませんが、
実はそんなに珍しくもなく、司法書士事務所に勤めてると見かけることは普通にあります。
だから、この登記をみときに「移記ミスかな」と決めつけてしまいがちなんですよね。
しかし、この2つの登記はどちらも移記ミスではありませんでした。

ポイントは、【移記される情報は限定されている】です。

移記される情報は限定されている

実は、登記簿からデータ化するときにすべての情報が何でもかんでも移記されるわけではありません。
移記されるのは【その時点で効力のある権利関係】のみです。

ここでもう一度今回の登記を見てみると
土地:所有者 福岡市西区○○12345番地 福岡太郎
建物:所有者 福岡市西区○○12355番地 福岡太郎
となっています。
これを【移記される時点で効力がある権利関係】に当てはめて考えてみると、
この住所は所有権移転をした時点のものではなく、移記される時点で効力がある最新の住所だったということになります。
何が言いたいか分かりますか?
そう、名変です。
実はこの登記、建物だけ名変されてたんです。

名変の登記は移記されない

何故名変登記は移記されないかというと、
移記されるのはあくまで【移記される時点で効力がある権利関係だから】のようです。
名変登記そのものは言われてみれば確かに【移記される時点で効力がある権利関係】には該当しませんよね。
それに対して、名変後の最新の住所は【移記される時点で効力がある権利関係】に該当するため、
名変登記は移記しないが、名変後の最新の住所だけ移記する。という感じになっているようです。
そのため、受付番号が一緒なのに住所だけ微妙に違うという結果になってしまったんです。

移記ミスか確認する方法

受付番号が一緒なのに、住所が違う登記を見つけたら、
閉鎖謄本を取得して名変があったかどうかの確認が必要です。
(もちろん依頼者本人への聞き取りは大前提としてあります)
ただ、データ化前の閉鎖謄本は管轄の法務局でしか取得できないので、
遠方のタイトな決済案件とかだと結構微妙ですよね、、

不動産の登記は司法書士へ

名変が移記されないというのが、個人的には衝撃でした。
だって、名変って司法書士にとって命取りなってしまう重要な登記だから。
「名変が移記されないって正気かよ!?」と、荒ぶる気持ちは高まるばかりです。

今回はこの思いを共有したく、同業者の方向けにコラムにまとめてみました。
私自身も他の事務所さんのコラムで「へえ~、そうなんだ!!」と勉強になることが沢山あるので、
同じように「へえ~」と思ってもらえたら嬉しいです。

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