医療法人の利益相反取引と必要書類
2024.02.16
先日、合同会社の利益相反取引についてコラムを書きました。
今日は、医療法人バージョンです。
なぜわざわざ医療法人バージョンを書こうと思ったかというと、
地域によって必要書類異なり、福岡市は結構大変だったからなんです。
まずは、利益相反取引とは?から説明していきます。
医療法人の利益相反取引とは
利益相反取引とはどんな取引を指すのでしょうか。
他のコラムにもちょいちょい書いてるのですが、
利益相反取引を私なりに簡単に説明すると、
「一方が得をすると一方が損をしてしまう取引」です。
医療法人のの利益相反取引について具体例で解説していきます。
医療法人の利益相反取引 具体例
例えば医療法人Aの理事長が所有する不動産を医療法人Aに売却する場合、利益相反取引になります。
買主:医療法人A
売主:医療法人Aの理事長
不動産の取引は一方が得をすると一方が損をしてしまう取引の代表例です。
何故かというと、
買主である医療法人Aは不動産をできるだけ【安く買いたい】
売主である医療法人Aの理事長は不動産をできるだけ【高く売りたい】
【安く買いたい】と【高く売りたい】って両方実現するのは不可能ですよね。
安く買って買主が得をすると売主は損をしてしまう
⇒一方が得をすると一方が損をしてしまう
⇒これぞ利益相反の代表例なのです。
そしてこの利益相反取引となった場合、
一般的な不動産売買にプラスアルファで手続きが必要なのですが、
このプラスアルファの手続きが管轄の法務局によって異なるようなのです。
共通の手続き
まず、利益相反取引をする場合、
医療法人側の意思を確認する必要があります。
この意思確認は理事会議事録によって行われ、
理事の過半数の出席があり、その過半数の賛成があればめでたく承認されることになります。
そして、理事会で承認されたことを証明するために、
理事会議事録を法務局に提出します。
ここまで見ると、「何だ、割と簡単そうだな」と思うのですが、
医療法人には1つ落とし穴があります。
それは、理事の名前が登記されていないということです。
医療法人は理事の名前が登記されない
例えば株式会社だと、代表取締役の他に取締役や監査役などの名前が登記されます。
しかし、医療法人は理事長の名前のみ登記されて、他の理事の名前は登記されません。
これの何が問題かというと、
登記簿で理事の名前が確認できないということは、
「理事会に参加した理事って本当にこの医療法人の理事なん?」
という疑念が生じるわけです。
そこで、登記されていない理事①~理事③が
医療法人Aの理事であることを証明するために、
理事会議事録の他にプラスアルファで書類が必要になるのです。
理事の確認書類は法務局によって異なる!?
実は法務局にも地方ルールみたいなものがあって、
「あっちの法務局ではOKだったけど、こっちの法務局でだめだったねー、まいったねー」
みたいなことが割とあります。
そして、今回のプラスアルファで必要な書類も、
どうやら法務局によって異なるようなのです。
医療法人の役員であることの証明が必要
今回は実例として福岡法務局への不動産登記申請時に必要だった書類についてご紹介します。
福岡法務局では「医療法人の役員であることの証明願」の提出が必要でした。
これが結構煩雑で、この証明願は保健福祉事務所や保健所などに提出して、
「間違いないですよー」って印鑑をもらう必要があります。
煩雑というか、保健所とか保健福祉事務所って司法書士事務所はあまり縁がないので、
管轄がよく分からなかったり、担当者とのやりとりで結構時間がとられます。
何で保健所などが証明するかというと、
医療法人は理事の登記をすると、その後保健所(又は保険福祉事務所)に届出をするので、
登記されていない理事に関しても保健所などがきちんと把握しているだろう。
ということで、理事の証明は保健所などにいちいち証明をしてもらう必要があるようです。
この書類が法務局によっては理事選任時の社員総会議事録でよしとしているところもあるようなので、
その度法務局へ照会する必要がありそうですね。。
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