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心に残る相続の現場。面談日当日に公正証書遺言を作成。

2024.02.05

面談日当日に公正証書遺言を作成。

先週日曜日に、 「遺言書作成の面談の予約を早めてもらえませんか?」 というお電話をいただきました。

お話を伺ったところ、旦那様の体調が思わしくなく、約束の3日後まで持たない可能性があるとのことでした。

急いでいる様子が伝わりましたので、予定を調整し、お電話をいただいた翌日にご自宅にお伺いしました。

ご本人様にお会いした際、とても苦しそうな印象を受けました。 末期がんで数カ月前に余命宣告を受けたとのことでした。

すでに話すことも辛い状況の中、「自分の全財産を妻に相続させたい」とおっしゃいました。

主な財産は自宅しかありませんが、他の相続人(子供のいない状況で、お母様が健在です。相続人は妻と母です)に

相続権を主張されてしまうと、 妻の住む場所が確保できず、困る状況になります。

そのことが心残りであり、遺言書を作成してから亡くなりたいとおっしゃいました。

ただし、自分で字が書けないため、公正証書遺言を作成する必要があります。

私は医師ではないため、現在の体調面の状況は判断できませんでしたが、遺言書をいち早く作成するべきだと感じました。

                    

公証人の先生に連絡

そこでまず、いつもお世話になっている公証人の先生に連絡し、事情を説明しました。

すると先生は急いで資料を提供してくれれば、間に合わせるとおっしゃいました。

普段、公証人の先生に依頼した当日中に遺言書を作成する、ということは滅多にありません。

先生も初めは戸惑っていましたが、熱心に話をしたところ、理解を示してくださいました。

私はそのまま役所に行き、遺言書作成に必要な公的書類を取得しました。

そして取得した書類をデータとして公証人の先生に送り、公証人の先生と一緒に証人の事務員を連れてご相談者様の自宅に再訪しました。

時刻は午後2時でした。

その時も、1回目の訪問と同様に、ご本人の気持ちをはっきり述べられ、無事に公正証書遺言が作成されました。    

 

3日ほど経ってから、奥様からお電話をいただきました。

「主人が亡くなりました」とのことでした。

なんと、遺言書を作成した日の夕刻、作成から約3時間後だったそうです。

「本当に助かりました、ありがとうございました」とお喜びの声を頂きました。

私は胸がいっぱいで、奥様に何と声をかけて良いのか分かりませんでした。

あの時、最後の力を振り絞ってお話をしていただけたのだと感じました。

私はあの方とのご縁を頂いたと思いました。

司法書士という職業を選んで、本当に良かったと感じました。

色々な感情が湧き上がりました。

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