譲渡制限規定とは?有限会社の譲渡制限規定は変更できる?
2024.11.11
平成18年の会社法改正により、新たに有限会社を設立することができなくなりました。
新たに設立できなくなったとはいえ、
やはり有限会社のままにしておくことに一定のメリットはあり、
改正前に設立していた有限会社から登記のご依頼をいただくことは、
今でも割とよくあります。
そんな有限会社の特徴の1つが「譲渡制限規定」です。
株式会社とは異なるスタンスをとっており、
たまに、急に質問されると「あら?何やったっけ?」と一瞬まごついてしまいます。
今日はそんな有限会社の譲渡制限規定についてご紹介します。
譲渡制限規定とは
まず、譲渡制限規定とは!?ということですが、
私なりの言葉で説明すると、
「株式の譲渡を制限するための規定」です。
結構そのままですね。
株式は一般的に自由に譲渡してよいものなので、
好きなときに好きな人に好きなように譲渡できます。
しかし、これを許してしまうと、
会社が知らないうちに、何だか知らない人が株主になっていて、
勝手に株主総会開かれて勝手に役員変更されていた、、
という悲劇が生まれる可能性があります。
大きい会社であればそれが常です。
株式の売買が一般的に行われていて、
定期的に株主総会を開いて株主や会社がやいやい言い合って、
会社をよくするために役員変更なども余儀なくされる。ということもあるでしょう。
しかし、考えてみてください。
父ちゃんと母ちゃんと息子3人で経営している典型的な同族会社だったとします。
そんな会社で、各々が自由に株式を譲渡しまくって、
知らないうちに経営者が変わってしまっていた、
ということがあると困りますよね。
そこで、これを阻止できる方法が「株式の譲渡制限規定」なのです。
株式を譲渡して何で経営者が変わるの?
経営者(取締役などの役員)を選任するのは、株主総会です。
株主総会とはその名のとおり、株主による会議です。
なので、株式譲渡をして株主総会で一票を投じる株主が変わると、
経営者を変更される可能性が出てくるのです。
譲渡制限規定の具体例
一般的な株式会社(中小企業)は、株式の譲渡に関して制限をかけています。
どんな風に制限をしてえいるかというと、
「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する」
のような感じです。
この場合、株式を譲渡しようと思ったら、株主総会の承認が必要ということになります。
なので知らない間に勝手に株式が譲渡されまくって
知らない株主がたくさん出てきた!
という可能性は限りなく0に近づけることができます。
この譲渡制限規定ですが、株式会社は割と自由に承認機関を設定することができます。
株主総会でもいいですし、「当会社の承認」や「代表取締役の承認」とすることも可能です。
では有限会社も株式会社同様に自由に譲渡制限規定を設定することができるのでしょうか。
有限会社の譲渡制限規定は自由に変更できる?
結論から書くと、
有限会社は株式会社のように譲渡制限規定を自由に変更することができません。
平成18年の会社法施行時に、有限会社の譲渡制限規定は以下のような規定が一律で記録されました。
「当会社の株式を譲渡により取得することについて当会社の承認を要する。
当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合においては当会社が承認したものとみなす。」
有限会社の登記簿を見ると、例外なく全ての会社にこの規定がされています。
そしてこの規定は整備法第9条2項によって「変更することはできない」と明記されています。
そのため、有限会社が譲渡制限規定を変更することはできないのです。
どうしても変更したい!という場合は、
会社自体を株式会社に変更する他ありません。
このために株式会社へ変更するということはあまり考えられませんが、
変更を検討される場合はこちらのコラムをご参考にされてください。
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今日は有限会社の譲渡制限規定についてご紹介しました。
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