コラムColumn

有限会社を株式会社に変更することはできる?

2022.08.27

平成18年の会社法改正により、新たに有限会社を設立することができなくなりました。
新たに設立できなくなったとはいえ、改正前に設立していた有限会社は今でも多数存在します。
では、この有限会社が「株式会社に変更したい!」と思った場合、
変更ができるの?
変更できる場合どんな手続きが必要なの?
についてまとめてみました。

有限会社から株式会社への変更は可能

有限会社を株式会社へ変更することは可能です。
変更するためには、定款変更をして、
以下の2つの登記申請をします。
①商号変更による株式会社の設立登記
②商号変更による有限会社の解散登記

この「設立登記」と「解散登記」を同時に行うことで、
有限会社から株式会社へ移行することができます。

手続とスケジュール

有限会社から株式会社へ移行する場合のスケジュールはこんな感じです。
1.有限会社の株主総会で定款変更について決議する
2.法務局に「株式会社設立登記」と「有限会社解散登記」を同時に申請する

あくまで1つの会社についての手続きなので、
合併などと比較すると、
官報公告などの手続きも不要で意外とあっさりしています。

準備するもの

・商号変更と同時に就任する取締役(又は代表取締役)の印鑑証明書
※商号変更前から引き続き取締役に就任する方の印鑑証明書は不要です
・代表取締役の印鑑証明書
※印鑑届をする際に必要です
・新しい会社実印
※登録する印鑑は自由なので、有限会社の印鑑をそのまま使っても問題はありません。

登録免許税

設立登記と解散登記でそれぞれ登録免許税がかかります。

設立登記

変更前の有限会社の範囲内の資本金×1000分の1.5
変更前の有限会社の資本金を超えた分×1000分の7
①と②の合計
合計が3万円に満たない場合は3万円

少し計算方法が複雑ですが、具体的にはこんな感じです。
資本金100万円の有限会社を商号変更して、
資本金1000万円の株式会社にする場合
100万円×1000分の1.5=1500円
900万円×1000分の7=6万3000円
合計6万4500円

解散登記

3万円

株式会社への移行と同時に他の登記事項も見直しを

有限会社から株式会社に変更するときに、
他の登記事項についても一緒に変更することができます。
一緒に変更した場合、別途登録免許税はかかりませんので、
他に変更は必要ないかな?とご検討されることをお勧めします。

しかし、何でもかんでも一緒に変更してしまえるわけではく、
変更内容によっては、別途登記申請が必要な場合があります。

同時にできない登記

本店移転(管轄内外を問わず)の登記は、
有限会社から株式会社への変更登記と同時に同時に申請することができません。
「同時」というのが、
同じ登記申請の中についでに本店移転を入れることはだめですよ。
ということです。
なので、別の申請書で連続(連件)して申請をすることは可能です。
1件目:本店移転
2件目:株式会社設立
3件目:有限会社解散
この場合は本店移転と設立解散の登記申請を別で作成してるのでOKです。

取締役の任期について

有限会社と株式会社の大きな違いの1つとして、
「役員の任期設定が強制か強制じゃないか」という点が挙げられます。
例えば取締役の任期に関する違いはこんな感じです。

有限会社:原則取締役の任期なし。定款で任期を定めることはできる。
株式会社:原則取締役の任期は2年(すごいざっくりです)。ただし、定款で任期を短くしたり長くしたりすることはできるよ。

有限会社は原則任期なしに対して、
株式会社は任期は絶対にあって、をれを短縮伸長(最長10年まで)は可能となっています。

じゃあ例えば、新しく設立する株式会社の取締役の任期を10年としたとします。
有限会社から株式会社になったときに
在任中の取締役の任期が既に10年すぎていた場合どうなるのでしょうか?

この場合、10年以上就任している取締役は一旦任期満了で退任することになります。
引き続き取締役をやってほしい!ということであれば
改めて株式会社設立と同時に取締役を選任・就任する手続きが必要です。

発行可能株式総数について

有限会社では発行済株式数=発行可能株式総数が絶対です。
発行済株式:50株だったら
発行可能株式総数:50株だし、
発行済株式:100株だったら
発行可能株式総数:100株です。

これに対して株式会社は発行可能株式総数を多めにして枠を設けておくことができます。
例えば、
発行済株式:50株だったら
発行可能株式総数:100株もOKですし、
非公開会社であれば
発行済株式:50株だったら
発行可能株式総数:5000株なんてこともOKです。
(これがいいかどうかは別の話ですが)

枠をとっておくと何がいいかって、

増資などで株式を発行するときに、
発行済株式数=発行可能株式総数だと
枠がないのでその都度発行可能株式総数の変更が必要です。
これは定款変更になるので、
株主総会の決議を経て定款変更をして、
登録免許税3万円と司法書士への報酬がかかってきます。

株式会社への変更と同時にしておくことで
登録検挙税もかかりませんので、
発行可能株式総数の変更もご検討されてください。

株式会社へ移行するメリットとデメリット

ここまで有限会社から株式会社への変更手続きなどを紹介しましたが、
そもそも何で変更するの?株式会社に変更するメリット・デメリットはどんなことなのでしょうか。

メリット

・株式会社を名乗ることで社会的信用度アップ
・さまざまな機関(取締役会、会計参与など)の設置が可能となる

デメリット

・二度と有限会社には戻れない
・役員の任期が法定されて、怠ると過料やみなし解散の対象になる

変更登記は司法書士へ

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