コラムColumn

本当にあった怖い話~名変を侮るなかれ~

2024.08.14

家売ろうと思ったら、何かよく分からんけど「名変必要」って言われて、
司法書士の見積みたら名変で数万円の報酬とられるんやけど、
これって何なん。
で、ネットで調べてみる。
そしたら出てくる。
「名変登記は自分でできる!」
「名変登記は自分でやろう!」

どうやら自分が引っ越したからその住所変更登記をしないといけない、ということらしい。
名変登記について詳しくはこちらのコラムをご覧ください。

そして、この名変登記は○○くらい簡単らしい。笑
え?じゃあ司法書士に数万円払ってやってもらうの無駄じゃない?
経費削減だい!!
と自宅の売買直前に自分で名変登記を申請してしまう。

怖い、本当に怖い。
何が怖いか分かりますか?
こういうことなんです。

家を売るときの当日の登記手続きの流れ

まず司法書士は売買の当日の朝、

①対象の不動産の登記情報を取得して確認します。

これは何かというと、きちんと売主さん名義になってるか?
把握していない抵当権が新たについたりしていないか?
ということを確認するためです。
もちろん、登記の依頼時点でも登記情報を確認しますが、
売買直前に改めて登記情報を取得確認することで
安全で確実な取引を実現することができます。

そして、中古の家を売ったり買ったりしたことがある方はご存知かと思いますが、
家を売買する当日(お金が動く日ということです)、
殆どの場合は、

②皆で銀行に集まって書類の確認や売買代金の確認、費用の受け渡しなどをします。

皆とは、売主、買主、仲介不動産、司法書士です。

全ての書類が揃って売買代金が無事売主さんのところに入ったら

③その日のうちに登記申請をします。

すごく簡単にまとめるとこんな感じです。
①対象不動産の登記情報を取得確認する
②皆で銀行に集まって書類の確認や売買代金の確認、費用の受け渡しなどをする
③その日のうちに登記申請をする

では、名変登記を売買直前に申請してしまうこと
この流れにどんな影響があって、
何が怖いのかご紹介します。

登記情報が取得できない

登記情報は、対象不動産に何等かの登記申請がされている間は取得することができません。

先程の家を売るときの当日の登記手続きの流れで言うと、
売買当日の朝、①対象不動産の登記情報を取得確認しようとしたら、
直前に名変登記を入れてしまっているので登記情報を取得することができません。

「、、、できません。で?どうなるの?それって怖い話なの?」

どうなるのかというと、
①登記情報が取得できないということは、
②③に進めないということなんです。
つまり、不動産の取引ができないというこです。
不動産業界の方や金融機関の方、司法書士なら想像しただけでゾッとすると思います。
売買当日に取引が流れるとか、ちょっと考えられないです。

じゃあ売買を諦めるしかないの?
というと、そんなことはなくて、選択肢はただ1つ。
直前に勝手にやってしまった名変登記を取り下げる必要があります。

結局名変登記は司法書士へ

登記情報が取得できない原因は直前に名変登記を勝手に入れてしまって、
対象不動産が登記中になってしまっているから。

ということは、直ちに名変登記を取り下げて登記中の状態を解除してもらう必要があります。
ポイントは「直ちに」です。
その日のうちに取下して解除してもらわないと、売買の登記をすることができません。
近所の法務局であれば取下書や登録免許税の還付請求書などを持参してその場で対応してもらえますが、
これが遠方の法務局だった場合どうでしょうか。
取下書などを郵送して法務局に到着するのに何日かかるでしょう、、
そうなると当日の売買はどうなるのか、、考えたくないですね。

無事名変の取下げができたら、
結局売買の登記をする司法書士が売買の登記と一緒に名変登記もやることになります。
色んな人が肝を冷やして、結局自分でやった名変登記も水の泡ということです。

自分でやりたいなら事前相談と余裕をもったスケジュールで

名変登記を自分でやること自体は問題ありません。
ただ、今回何がまずかったかというと、
売買直前に勝手にやってしまったことです。
きちんと余裕をもったスケジュールで
不動産の仲介業者や司法書士に相談した上で名変登記をして、
売買当日までに名変登記が完了していれば特に問題はありません。

不動産売買は想像以上に多くの人が関わっていて、
多くの人がドキドキしながら売買当日を迎えているのです。

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