コラムColumn

法定相続情報証明制度と戸籍の取得

2018.01.25

相続が開始した場合、被相続人(亡くなられた方)が持っていた不動産や預貯金などの財産を承継できるのは、原則として民法に規定された法定相続人だけです。そして、これらの不動産や預貯金などの財産の名義を法定相続人名義に変更しなければなりません。

この名義変更に際して、誰が法定相続人となるかを証明する書面が必要となり、従来までは、被相続人の戸除籍謄本等の束を,相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要がありました。その不便を解消するために、平成29年より法定相続情報証明制度が始まりました。

法定相続情報証明制度とは、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出していただければ,登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。その後の相続手続は,法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで,戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなるというものです。

法定相続情報証明制度利用時のメリット

「法定相続情報証明制度」が発足するまでは、相続手続をする際に、必ず、登記所や各金融機関が相続人の関係を確認するために戸籍の束(戸籍謄本や除籍謄本など)の提出が求められていました。

登記所や各金融機関で相続人の関係の確認が終了すると戸籍の束は返却されます。

この相続人の関係を確認する作業に1週間から10日くらいの時間がかかります。

1カ所の登記所や金融機関でこのくらいの時間がかかるので、被相続人が日本全国のあちこちに不動産を所有していたり、複数の金融機関に預貯金などを遺していれば、それだけ、膨大な時間がかかってしまいます。同じ戸籍の束を遺産の数だけ用意できればいいですが、場合によっては戸籍だけで数千円・数万円とかかる場合もあるため、同じ戸籍の束を使いまわすことも多くあります。

「法定相続情報証明制度」を利用して、「法定相続情報一覧図の写し」を登記所に交付してもらうと、各登記所や各金融機関に「法定相続情報一覧図の写し」を提出するだけで済み戸籍の束を提出する必要がありません。

また、「法定相続情報一覧図の写し」は、交付枚数に制限がありません。よって、相続手続を行う登記所や金融機関の数に応じて、必要とする「法定相続情報一覧図の写し」の数だけ、交付を請求することができます。

これによって、各登記所や各金融機関に「法定相続情報一覧図の写し」を同時に提出することで、相続手続を同時進行で、まとめて行うことができ、相続手続の大幅な時間短縮や負担軽減になります。

しかも、「法定相続情報証明制度」の申請手続は無料です。また、「法定相続情報一覧図の写し」も交付手数料がかかりません
「法定相続情報証明制度」や「法定相続情報一覧図の写し」の再申請や再交付も可能で無料です。

戸籍の取得は従来通り必要

とはいえ、「法定相続情報証明制度」でも同じく、相続人を確認しなければならないので被相続人や相続人の戸籍をまず集めなければなりません。これは従来と同じです。

「法定相続情報証明制度」はあくまでも法定相続人が誰なのかを証明した書面を登記官が発行してくれるという制度です。

その申請のためには、必要な戸籍を収集し、被相続人及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を作成し提出しなければならないのです。

戸籍を収集する目的は、「法定相続人を調べるため」であり、その作業は従来通り相続人やその代理人(司法書士等)で手配しなければなりません。

相続に関する業務を通じていつも思うことは、「戸籍」の取り扱いの難しさです。

◆戸籍の取得

司法書士は、「戸籍謄本・住民票等の写し等職務上請求書」という書類を作成して、戸籍を集めることができます。でも、一般の人が、被相続人や相続人の戸籍を集める作業は、時間と手間がかかります。

被相続人の戸籍は出生から死亡まで集めなければなりません。相続人は、現在の戸籍を集めないといけません。「相続のために戸籍を集めています。」という理由があれば、直系尊属(父、母、祖父、祖母等)・直系卑属(子、孫、ひ孫等)集めることができるかもしれませんが、兄弟姉妹の戸籍謄本等は集めることが難しいかもしれんません。

地方自治体によって、請求方法が異なったりすることが多々あるように思います。例えば、戸籍謄本を請求する際に兄弟姉妹の方から戸籍請求に関する委任状をもらってくださいなどです。

昨今、個人情報の取り扱いはとやかくうるさい時代になりました。戸籍を請求する前に、各地方自治体に問い合わせてからのほうがいいかもしれません。また、被相続人が転籍をしている場合には転籍前の自治体にも請求しなければなりません。

◆戸籍を読む

いざ、戸籍を集めて中身を見てみると、最近の戸籍謄本等はコンピュータ化によりとても見やすい戸籍謄本等になっています。

ですが、コンピュータ化前の戸籍謄本等は、平成→昭和→大正→明治→慶応・・・時代を遡れば遡るほど、何を書いているのかわからなくなってきます。

昔の役人の方の文字は、達筆すぎて・・・、私のような凡人には、読むのに一苦労・・・

よって、やっとの思いで読み解いた戸籍で、被相続人の出生や死亡までの記載がなかったときや相続人の現在の戸籍がまだそろっていない場合、新たに出生や死亡までの戸籍や現在の戸籍を請求しなければなりません。

でも・・・、どこから転籍してきたのか、見極めるのはとても難しいと思います。私どもも、時々、どこから転籍してきたの??と考えてしまうことがあります。

◆戸籍から法定相続人を調べる

法定相続人となる人の優先順位は、

①被相続人(亡くなられた方)の直系卑属(子や孫など)

②被相続人(亡くなられた方)の直系尊属(父母や祖父母など)

③被相続人(亡くなられた方)の兄弟姉妹

となります。

なお、被相続人の配偶者は、相続開始時に、死亡してなかったり、離婚していなければ、上記①②③の者に加えて、

常に法定相続人となります。

 

第1段階

戸籍を見て、優先順位①の被相続人の子が存在していることが確認できれば、戸籍の取得は終了です。

被相続人の子の存在が確認できない場合は、戸籍の取得は次の第2段階に進みます。

ただし、第1段階を終了して、第2段階に進むには、注意しなければならないことがあります。

相続開始時に被相続人の子が既に死亡していたとしても、その被相続人の子の子や孫(被相続人の孫や曾孫)などが存在していれば、

それらの者が死亡した子に代襲して(代わって)法定相続人となります。(代襲相続人の存在が確認できれば、戸籍の取得は終了です。)

したがって、被相続人の子も、その代襲相続人も存在しないことが確認できて初めて、次の第2段階に進むことになります。

 

第2段階

戸籍を見て、優先順位②の被相続人の父母の一方又は双方の存在が確認できれば、戸籍の取得は終了です。

被相続人の父母の双方の存在が確認できない場合は、戸籍の取得は次の第3段階に進みます。

ただし、第2段階を終了して、第3段階に進むには、注意しなければならないことがあります。

相続開始時に被相続人の父母の双方が死亡していたとしても、被相続人の祖父母や曾祖父母などが存在していれば、

それらの者は優先順位②の法定相続人として扱われることになります。

したがって、被相続人の父母、祖父母や曾祖父母なども存在しないことが確認できて初めて、次の第3段階に進むことになります。

 

第3段階

戸籍を見て、優先順位③の被相続人の兄弟姉妹の存在が確認できれば、戸籍の取得は終了です。

被相続人の兄弟姉妹の存在が確認できない場合には、被相続人の配偶者が単独で相続します。

(配偶者も存在しないときは、相続人不存在となります。)

ここでも注意点があります。

相続開始時に被相続人の兄弟姉妹が既に死亡していたとしても、その被相続人の兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)などが存在していれば、

それらの者が死亡した兄弟姉妹に代襲して(代わって)法定相続人となります。(代襲相続人の存在が確認できれば、戸籍の取得は終了です。)

したがって、被相続人の兄弟姉妹も、その代襲相続人も存在しないことが確認できて初めて、「被相続人の兄弟姉妹の存在が確認できなかった」ということになります。

 

普段、業務で戸籍を取り扱っている私達でも、時々考えてしまうことがあるのですから、普段見慣れない方々にとっては、なおさら難しいのではないかと思います。

 

ふくおか司法書士法人でも、相続による不動産や預貯金などの名義変更に伴う戸籍の取得についても代行しております。

また「法定相続情報証明制度」の申請手続等を取り扱っています。

不動産の相続登記や被相続人の預貯金の払い戻し手続も、相続人の代理として手続を行う業務も承ります。

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