120年ぶりの改正~民法~

明治時代に制定された民法が120年ぶりに大きく変わります!
民法改正案(民法の一部を改正する法律案)が平成29年5月26日、参議院本会議において可決され成立し、同年6月2日に公布されました。
公布の日から3年内の周知期間を経て、令和2年(2020年)4月1日から施行されます。
今回の改正によって、改正される点がたくさんあり、全てを紹介することはできませんが、
本日は、「債権の消滅時効」と「法定利率」について触れてみようと思います。
債権の消滅時効
現行の民法では、「消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。」(166条1項)
「債権は、10年間行使しないときは消滅する。」(167条1項)としていますが、今回の改正により、以下のようになります。
↓
改正民法166条1項
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
以上のように、債権の消滅時効の起算点および期間は、現行民法の「(債権者が知ったか否かにかかわらず)権利を行使することができる時から10年で消滅する」(客観的起算点)に加えて、「権利を行使することができることを債権者が知ったときから5年で消滅する」(主観的起算点)の2本立てとなりました。
例えば、金銭消費貸借契約のような場合、債権者は契約の時点で、権利を行使することができる時(弁済期)を知ることができることから実質的には、時効期間が10年から5年に短縮されたと考えることもできます。
そして、職業別の短期消滅時効(現行民法170条から174条まで)が廃止されることになります。
※職業別短期消滅時効・・・医師の診療債権は3年で消滅する。
弁護士の職務に関する債権は2年又は5年で消滅する。
旅館の宿泊料や飲食店の飲食料は1年で消滅する。 etc……..
この職業別短期消滅時効は、今回の改正により、他の債権と同様に、5年(主観的起算点)又は
10年(客観的起算点)の時効期間に服することになります。
法律を勉強されたことがある方なら、「飲み屋のツケは1年で消滅する。」というフレーズを聞いたことがあるかもしれませんが、飲み屋のツケも1年では消滅しないことになります。
法定利率
利息を発生させる協定については、あらかじめ利率を決めておくのが通常で、それを約定(やくじょう)利率といいいますが、この約定がない場合に適用される利率のことを「法定利率」といいます。
現行民法404条では、法定利率を年5%と定めていますが、昨今の低金利時代を反映して、今回の改正では年3%に改めることになりました。
うーん・・・損をする人と得をする人が出てきそうな・・・・・・
以上、本日は、民法改正について触れてみました。
今回の改正は、民法の骨組みに係る改正であることには違いなく、私たちの生活に少なからず影響を及ぼすものと思われます。
施行までには、まだ猶予はありますが、皆様も、ご自身の生活にどのような影響が及ぶかをお考えになられてはいかがでしょうか。
また、機会があれば、その他の改正点についても触れてみたいと思います。
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