寄附契約による所有権移転登記と利益相反取引
2022.03.28
先日、合同会社⇒一般社団法人への寄附による所有権移転登記のご依頼をいただきました。
そもそも「寄附」という登記原因自体、あまり取り扱いのない珍しい登記ですが、
その上、代表者が同一自分物の法人同士の寄附契約でした。
寄附契約とは
私が「寄付」と聞いてまず想像するのは、ふるさと納税です。
ふるさと納税は返礼品とか税金の控除とかがあるので、
無償で財産を譲渡している感覚があまりありませんが、
寄附とはそもそも「無償で財産を譲渡する」ことです。
この「無償で財産を譲渡する」と聞いてもう1つ思い浮かぶのが「贈与」です。
贈与も寄付と同様、無償で財産を譲渡する行為です。
では、寄附と贈与って何が違うのでしょうか?
寄附と贈与
同じ「財産を無償で譲渡する」でも
目的、契約の性質、税金面で大きな違いがあることが分かります。
寄附契約は利益相反取引になるのか?
代表社員が同一人物の場合に問題となるのが利益相反取引です。
一般的な「売買」を原因とする登記申請であれば
売主側も買主側も利益相反となり、双方の株主総会議事録等の添付が必要です。
しかし、寄附契約の場合、もらう側は一方的に何かをもらうだけなので利益相反行為にはなりません。
では、寄附する側はどうでしょうか?
寄附契約はあげる側は利益相反になる
寄附契約とはいえ、あげる側は
「不動産を手放す」という不利益があるため利益相反取引となります。
利益相反取引ということは社内決議が必要になるのです。
利益相反取引の場合、誰の承認が必要?
利益相反の場合の承認機関は、会社の種類や設置機関によって異なります。
登記申請時には、承認されたことを証明するために
議事録の添付が必要です。
寄附や贈与による不動産登記についてお困りの際は、
お気軽にふくおか司法書士法人までお問合せください。
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