コラムColumn

親のおカネ~もしもに備える~

2019.08.16

親のおカネが使えない!

 

親が認知症などで判断能力が低下し金融機関にその情報が伝わると、原則として親名義の預金を引き出すことができなくなります。

施設への入居費用を親の預金で賄うつもりが引き出せない、という事態に。同様に、親名義の不動産を売却して施設費用に充てようと思っても、本人の意思確認ができないと売却ができません。

 

このような事態に陥った時にできることがあります。

 

親が認知症になった「後」に活用できる「法定後見制度」

 

認知症などで判断能力が低下した人の財産を守る仕組みとして、「成年後見制度」があります。後見人は本人に代わって不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの法的な判断をします。預貯金の管理・解約に加え、保険金や不動産の売却手続き、相続手続き、介護保険の手続き、福祉サービスの契約や老人ホームや病院の契約など、本人の身上監護や財産管理に関する法律行為とそれに付随する事実行為を行うことで本人の意思決定を支援します。

この成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があり、判断能力が衰えた後に利用できるのが「法定後見制度」です。法定後見制度はさらに「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられます。

法定後見制度のメリットとデメリット

 

(メリット)

財産管理・処分ができる

悪質な契約を取り消せる

親族などによる財産の不当な使い込みなどを防げる

本人の死後、相続人や受遺者が相続財産を適切に受け取ることができる

煩雑な手続きでも後見人に任せることができる

 

(デメリット)

誰が後見人等になるかは家庭裁判所が決める

申し立てに費用がかかる

取下げや後見人の解任はできない

本人からの出費に自由度がなくなり、硬直的な運用しかできなくなる

後見事務作業が発生し、後見人に報酬を払わなければならない(親族が後見人の場合は無償の場合もある)

 

ネット上には、それまで生活費を夫の年金からも捻出していたのに、後見人の弁護士が「財産を減らすようなことは出来ない。」の一点張りで夫の年金を取り上げ、生活が苦しくなった・・・・などといった事例もあげられています。

たしかに出費に関しては自由度が減るのは事実です。しかし、成年後見人の仕事は本人の財産を全く使わせないようにロックしてしまうことではありません。

当社の司法書士も成年後見人や成年後見監督人を務めておりますが、配偶者の生活費や、親族が日常必要な費用について立て替えていた分はもちろん、身内への祝儀などの臨時的な出費も、司法書士から裁判所に都度確認の上、支出してきています(常識の範囲内で、本人の財産状況にもよります)。

申立ての際に、後見人の候補者について家庭裁判所に希望を伝えることができます(最終的には家庭裁判所が決めます)。申立前に弁護士や司法書士に相談をしてみて、その中で信頼できる専門家に後見人候補者になってもらうことで、いきなり全く知らない専門家が後見人になるといった事態を避けられる可能性が高くなります。

 

法定成年後見制度は公的な制度ということもあり、どうしても厳格な運用がなされます。

本当にこの制度を使うべきなのかどうか慎重に検討することも一方では大切です。

 

法定後見制度に向いている人とは

 

法定成年後見制度について、最も重要なポイントは「制度をきちんと理解してから利用する」という点です。

前述のように誰が後見人になるかは家裁が決定します。一度後見人が選任されると、「この人は嫌」などという理由で後見人を変えることはできません。

申立をする前にじっくり検討することが必要です。冒頭の例のような事態が回避できているのであれば、あわてて申立する必要はない場合もあります。

 

では、一体どういう人が利用するといいのでしょうか。

 

それは「争族」
つまり将来「相続をめぐって親族が争う」可能性がある人です。
・きょうだい間の仲があまり良くない
・家業を継いだ、などの寄与分が見込まれる親族がいる
・親族の使い込みや財産隠し、多額の引き出しなどにより、財産の全容がわからなくなる可能性がある
・安心して親の財産管理を任せられる身内がいない

などといった場合に利用価値があります。

 

認知症の高齢者は全国で500万人余り、その中でこの成年後見制度を利用している人はおよそ4%程度の22万人弱にとどまっています。厚生労働省の成年後見制度利用促進室は「制度の利用者がメリットを実感できていないケースが多いことが指摘されている」としており、今後は国も「利用を促進するため、制度運用の改善などを進めていく」としていますので、動向に注目したいところです。

 

親が認知症になる「前」に! 「任意後見契約」「家族信託」

 

「法定後見制度」が親が認知症になった「後」に利用するのに対し、親が認知症になる「前」に、財産をどのように管理し引き継ぐべきか、親の意思を尊重しながら検討できる制度があります。それが「任意後見制度」と「家族信託」です。

 

任意後見制度は、本人が判断能力がまだあるうちに、将来判断能力が不十分になった時のために、信頼できる人(家族・友人・弁護士・司法書士など)と任意後見契約を事前に契約しておく制度です。公証人役場で公正証書を作成します。

本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所に後見監督人の選任を申し立て、後見監督人が選任されると任意後見契約の効力が生じます。任意後見契約を締結していても、認知症などで判断能力が衰えていなければ、任意後見契約はスタートしません。

 

家族信託は、信頼できる家族・親族と信託契約を結んで財産管理を任せる方法です。任意後見契約が認知症になってから効力が発生するのに対し、家族信託は認知症になったかどうかに関係なく、また、裁判所が関与することなく、すぐに財産管理をしてもらうことができます。

 

任意後見の場合、財産管理は法定後見制度と同様に制限があります。例えば投資や生前贈与、相続対策などはできません。また、任意後見人には「取消権」がありませんので、判断力低下を理由に不利な契約を取り消したりはできません。

対して家族信託は幅広い財産管理が可能です。相続対策や投資・資産組み換えなど柔軟に対応できます。「取消権」はありませんが、財産を受託者の名義に変更するため、被害を最小限に食い止めることができます。ただし、家族信託には「身上監護」業務がありません。したがって、任意後見と併用するなどの選択も必要となるケースがあります。

 

まとめ

 

法定後見制度、任意後見制度、家族信託、それぞれにメリットデメリットがあります。

すでに認知症である場合には法定後見制度しか利用できませんが、それでも本当に必要な状況かどうか冷静に判断することが大切です。

まだ、認知症になっていない、もしくは認知症でもまだ軽度で自分の判断で契約ができるようであれば任意後見、家族信託、またはそれらの併用がおすすめです。

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