法定相続登記のあとの遺産分割による所有権更正登記
2025.12.11

——「これって贈与になりますか?」と心配される方へ。
令和5年改正後の正しい手続きと、ちょっと深い実務ポイントをお伝えします。
最近、区役所の無料法律相談に行かれた方から、このようなお問い合わせをいただきました。
「法定相続分でいったん相続登記をしたんですが、そのあときちんと遺産分割がまとまって……。
相続する人の名義に変更したいと相談したら、
“贈与になって贈与税がかかる”と言われてしまって、すごくお金が掛かるようで心配で……」
そのときは税理士と司法書士が相談を受けたそうですが、相続手続きには詳しくない方だったのかもしれません。

—— ■ 結論:これは贈与ではありません。
贈与税もかかりません。
遺産分割はあくまで「相続の一部」であり、
相続人同士で「どう分けるか」を整理し直しただけの行為です。
ですので、贈与とはまったく別の法律関係になり、 贈与税の対象にもなりません。
さらに今は制度が変わり、 名義を正す手続きもとてもシンプルになっています。
■ 法定相続登記のあとに遺産分割がまとまるのは珍しいことではありません
相続人の気持ちが落ち着くまでに時間が必要だったり、
話し合いがすぐには進まなかったり、
状況はご家庭によってさまざまです。
そのため、 まずは
母名義の不動産を、
長男・次男が2分の1ずつ相続登記
そのあと改めて話し合い、
「自宅は長男が相続する」
という内容で遺産分割が成立
このようなケースはとても多いです。
相続は、時間をかけて丁寧に整理していくもの。
途中で内容が変わること自体は、決しておかしいことではありません。
■ 令和5年4月の法改正で、相続人の負担がぐっと軽くなりました
以前は、法定相続登記のあとに相続内容が変わると、 相続人全員の実印・印鑑証明書
持分を失う側(義務者)の登記識別情報 全員での「共同申請」 など、
正直かなり大変な手続きが必要でした。
ところが、令和5年4月の民法・不動産登記法の改正によって、
▶ 「所有権更正登記」という手続きで 相続で取得する方 おひとりで 名義を正せるようになりました。
そのうえ、 登録免許税は不動産1つにつき1,000円だけ
義務者の協力は不要
遺産分割協議書と印鑑証明書があればOK
かなり手続きがしやすくなり、現場でも喜ばれている改正です。

■ 【専門家向け】実務で気をつけたいポイント
ここからは、司法書士・税理士など専門職の方への少し踏み込んだ補足です。
● 更正登記では、他の相続人の住所・氏名変更登記は不要
更正登記は「帰属内容を正しくすること」が目的なので、 他の相続人の住所・氏名が変わっていても、変更登記までは求められません。
住民票除票や戸籍の附票など、変更を証する資料を添付するだけで大丈夫です。
● ただし、最終的に名義人になる相続人だけは“前提登記”が必要
ここが実務上の落とし穴です。
名義人となる相続人に「住所や氏名の変更」がある場合は、
1件目:住所・氏名変更登記
2件目:所有権更正登記(遺産分割の内容どおり) という順番にする必要があります。
改正前でまだ根拠となる先例や登記研究での回答はないようですが、福岡法務局で、この取扱いで運用されているそうで、 当職の案件でも、一度取下げてこの順で申請し、となりました。
■ まとめ
☑法定相続登記のあとでも、遺産分割がまとまれば名義は直せる
☑遺産分割は贈与ではないため、贈与税はかからない
☑令和5年改正で、相続で取得する人が単独で「所有権更正登記」を申請できる
☑名義人となる相続人のみ、住所・氏名変更登記が必要
ほかの相続人の変更登記は不要(証明資料の添付のみでOK)
■ 相続の名義変更でお困りの方へ
ふくおか司法書士法人では、 法定相続登記後の名義変更 遺産分割協議に基づく登記 相続登記義務化への対応 相続にまつわるご相談全般 を一貫してサポートしています。
「これって誰に相談したらいいの?」という段階でも大丈夫です。
どうぞ安心してご相談ください。
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