もしものときに備える ― ある女性の死後事務委任契約
2025.08.15

今回ご相談いただいたのは、お子様がいらっしゃらず、ご主人やご兄弟もすでに亡くなられている女性でした。
甥や姪とも関係が良くなく、頼れるご親族がいない状況の中、病気で入院され、余命宣告を受けられたのです。
ご本人が一番不安に思われていたのは、
**「亡くなった後、自分を引き取ってくれる人がいない」**ということでした。
また同時に、
「大切に築いてきた財産を、お世話になった病院に寄付し、同じ病気で苦しむ方々の治療に役立ててほしい」
という強い願いを持っていらっしゃいました。
体調もすぐれない中で「急いで契約を整えたい」というご要望がありましたので、当法人では公証役場の先生にもお願いし、ご依頼からわずか5日で契約の締結に至りました。
公証人の先生には病院までお越しいただき、ベッドサイドでご本人の意思を丁寧に確認しながら、死後事務委任契約と遺言書を整えることができました。
死後事務委任契約でできること
「死後事務委任契約」とは、亡くなられた後に必要となる事務手続きを、あらかじめ代理人(受任者)に委ねておく契約です。
今回のケースでは、次のような内容を定めました。
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葬儀社の指定、葬儀の内容に関する希望の反映
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納骨場所や埋葬方法の指定
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病院や介護施設への支払清算、退院手続き
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賃貸マンションの明け渡し、荷物の整理・処分
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水道・電気・ガス・電話・インターネットなどの契約解約
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行政機関への届出(健康保険証・年金等の返却や停止)
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親族や関係者への死亡の通知
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その他、生活に関わる清算・解約に関する事務
こうした内容を一つひとつ契約書に盛り込み、受任者が責任をもって実行することで、ご本人は安心して日々を過ごすことができます。

遺言で思いを形にする
さらに、ご本人のご希望であった「病院への寄付」を確実に実現するため、当法人を遺言執行者に定めた遺言書も作成しました。
これにより、ご本人の財産は確実に病院へ寄付され、未来の患者さんの治療に役立てられることとなります。
また、主治医の先生にも事前にご挨拶を行い、病院側ともしっかり連携をとれるよう準備を整えました。
契約締結後、ご本人は「これで安心して療養に専念できます」と穏やかな表情を見せてくださいました。
安心して今を過ごすために
亡くなった後のことを考えるのは勇気がいることです。
けれども、事前に準備を整えることで「自分の最期がどうなるのか」という不安を和らげ、残りの時間を安心して過ごすことができます。
死後事務委任契約は、葬儀や納骨といった「お別れ」に関することから、住まいや契約の清算、遺言による財産の行方まで幅広くカバーできる仕組みです。
頼れるご親族がいない方や、身寄りがあっても迷惑をかけたくないと考えている方にとって、大切な安心の形になります。
同じようにご不安を抱えていらっしゃる方は、どうぞ一度ご相談ください。
私たちは、ご本人の思いに寄り添い、その願いを確実に実現できるよう全力でサポートいたします。
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