コラムColumn

一般社団法人の社員が欠けたことによる解散登記について

2026.09.02

先日、初めましての登記申請に出会いました。
商業登記は奧が深く、どれだけやっても初めましてに出会います。

次に出会ったときに忘れてしまって、
「初めましてー!」とならないように、備忘録がてらご紹介します。

社員が欠けたことによる解散~事例~

例えば、こんな一般社団法人があったとします。

一般社団法人XYZ
社員2名 スズキさん、タナカさん
理事2名 スズキさん、タナカさん
(同一人物)

令和8年6月1日、社員兼理事のスズキさんが死亡しました。
それを知ったタナカさんは、令和8年6月10日に社員を辞めることにして、
法人宛てに退会届を提出しました。

ということで、一般社団法人XYZの社員がいなくなってしまいました。
一般社団法人の解散事由の1つに「社員が欠けた場合」というものがあります。
そのため、一般社団法人XYZは社員が欠けたことを理由として、解散することになります。

因みに、司法書士事務所に依頼がくる、ほぼ100%の解散事由は、
「社員総会の決議による解散」です。

なので、社員が欠けたことによる解散というのは結構レアケースだと考えられます。

手続きの流れ

社員兼理事が死亡して、清算結了するまでの登記の流れは下記のとおりです。
①理事の死亡の登記
②社員が欠けたことによる解散
③法定清算人
④清算結了

①理事の死亡の登記

社員は登記されないので、死亡による登記は不要ですが、
今回は理事でもあるスズキさんが死亡しているので、まずは理事の死亡の登記が必要です。

この登記申請には、株式会社などと同様に、
死亡が確認できる戸籍や親族が作成した死亡届などの添付が必要です。

②社員が欠けたことによる解散

ここで一番悩んだのは、何を添付したいいんだろう?
ということでした。

例えば、社員総会の決議によって解散した場合は、
それを証明するために社員総会議事録を添付します。

しかし今回の解散は何か積極的に起こったことではなく、
社員が欠けてやむなく、、といった感じです。
死亡を証する戸籍などや、退会届を提出するのかな?と色々調べたところ、
なんと「社員が欠けたことによって解散した場合は、
解散の事由を証する書面の添付を要しないと解するのが法務当局の見解である」
というではないですか。(新・法人登記入門)

ということで、何も添付せずに登記申請をしたところ、法務局より電話が。
「うん、確かに何も添付しなくていいって書いてるよね~、そうよね~、けど日付が確認できないんだよね~どうしようか」
ということで、日付の確認をしてもらうために退会届を提出しました。
なので、退会日を委任状とかに記載しててもよさそうな感じですね。

今回は死亡⇒退会の順番だったので、
解散日はタナカさんの退会日である令和8年6月10日になります。

一般社団法人の社員はいつでも退会できる?

一般社団法人の社員は、原則、いつでも自由に退会できます。
定款などで「○○な場合は~」など制限を設けていることもあるようですが、
今回ご依頼いただいた法人は特にそういった制限もなかったので、
退会届を提出してすんなり退会となりました。

③法定清算人

社員総会が開けないので、清算人を選任することもできません。
そのため今回は法定清算人としてタナカさんか清算人になりました。

④清算結了

ここも悩みました。
というのが、社員総会で解散した場合、
最終的に決算報告の承認を社員総会で行って、清算結了という流れになります。
ところが、今回の解散は社員が欠けたことによる解散のため、
社員総会で決算報告の承認ができません。

色々調べたところ
「決算報告の承認があったこを証する書面として、
代表清算人の作成した決算報告書を添付すればよい」(新・法人登記入門)
とのこと。
代表清算人の作成した決算報告書のみ添付して無事登記完了しました。

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